闇と光 第21話 質問攻め

オレは男達に囲まれながら歩いていた。ギャラリーから見れば、完全に連行されている絵面だ。どうせ連行するなら女の子に囲んでもらいたかった。お姉さんいっぱいいたじゃん。なんで野郎と歩かないといけないんだ・・・。不快な匂いしかしない。あとでまた遊郭を散歩しなくては・・・。などと考えているとどうやら着いたようだ。

 


ここは応接間といったところか?どうやらいきなり戦闘開始にはならないらしい。周りのやつらが殺気立っているだけでドンはそもそも友好的だったもんな。執事風の男だけは殺気は出ていない。本心はわからないが、こいつにだけは注意しておこう。

 


「そこにかけてくれ。とりあえずお話をしたいだけでね。楽にしてくれて構わない」

 


そう言うと、ドンは対面のソファーに腰をかけた。執事風の男はドンの後ろに立っている。とりあえず・・・座るか。オレの後ろに8人の野郎どもが立っている。物騒なことで。何を話したいのだろうか?

 


「紅茶でも飲みながらゆっくり話そうか?私の名前はアデルソンだ。安心したまえ。毒など入ってないからな」

 


メイドによって紅茶が運ばれていた。危険察知はまったく反応していない。本当のことなのだろう。とりあえずひと口いただいて・・・。紅茶の質はいいかもしれない。だが美貴の紅茶の方が上だ。淹れる人というのは重要だ。淹れた女性のレベルによって味は変わるものだ。

 


「ありがたくいただこう。オレはハイロリだ。お話とやらをするには殺気立っているやつが邪魔だな?」

 


オレがそう言うとアデルソンは後ろの男達を退出させた。

 


「これでよいかな?ハイロリ君」

 


「いやまだ姿は消しているが5人いるだろう?上に1人。部屋の四隅に4人。まぁ殺気立ってはいないがな。隠れているのは気に食わないな」

 


「下がれ」

 


執事風の男は一言だけ言った。

 


「ほう・・・暗部に気がつくとは感心したよ。君さえ良ければ暗部にスカウトしたいくらいだ」

 


スキル大先生の力だよ。基本的に使って支障のないものはフルぶっぱ中だ。アデルソンは暗部と言った。ということは・・・やはり執事風の男はできるな。あの男が暗部の頭なのだろう。

 


「それは条件次第だが・・・。そんなことを話すために呼んだわけじゃないだろう?」

 


さて何が飛び出るか・・・?

 


「では本題に入ろうか。君の目的はなんだ?」

 


「目的?どういう答えを求めているのかはわからないな」

 


「では、質問を変えよう。このカジノにきた目的は?」

 


「部屋の改造、増築用の資金調達と景品の装備品が目当てだ。カジノに来る理由なんてそんなもんじゃないのか?」

 


素直に言っておく。だってホントなんだもん。

 


「なるほど。資金調達はいいがうちの景品に装備品なんてないぞ?」

 


「えっ!ないの!?ゲームのカジノといったらぶっ壊れ装備あるんじゃないの!?」

 


どうやら装備品はなかった・・・。なんてこったい。

 


「取り繕わなくてもそのままでいいぞ。話から察するに君は来訪者か?大量にくると聞いていたが・・・。まだそんなにきていないのか?」

 


来訪者?あぁ参加者のことか。聞いていたと言っていたがどうゆうことだ。こいつの上にも誰かいるもしくは設定上のことなのか?司お姉様がGMと考えれば納得はいくが・・・まぁいいか。

 


「たぶんそちらで言う来訪者がオレかな?ここに来たのは昨日だ。どれくらいきているかは知らないが、オレが1番乗りというのだけはわかっている。まぁ・・・きていたとしても数えるほどしかいないと思うよ」

 


掲示板の書き込みをまだ見てないから最悪オレ1人ということもある。

 


「そうかそうか。やはり来訪者か。どのくらいくるのだ?それと来訪者達は君と同じくらいの能力を持っているのかね?」

 


「時期まではわからないけど最終的には20万強くらいかな。それは知らん。オレと面識のあるやつがそもそもいない。さらに言えばオレの能力が来訪者の中でどのぐらいの位置にあるのかすらわからない」

 


「では君がルーレットで当てていたタネを聞いても構わないか?」

 


まぁ別にインチキしてないしいいか。

 


「単純にボールの入るスピード、盤の回転速度、それぞれかかる力を傾斜に合わせて計算して統合させて導き出しただけだよ?まぁ最も読み合いでも勝っていたけどな。狙った場所に入れていたし。なかなかいい腕のディーラーを揃えているな」

 


「そ、そんなことが可能なのか・・・?もう一度聞くが、他の来訪者達はそれを真似ることは可能なのか?」

 


「ん〜〜・・・まったくいないとは言い切れないが限りなく0%かな。少なくとも元にいた世界でそうゆう話は聞いたことがない」

 


確かに言われてみればぶっ飛んだことをしていたな。でも文章問題とかも暗算即答できてたしなぁ。同級生に言ったら引かれたこともあったっけなぁ。失礼しちゃうよなまったく・・・。

 


「それなら安心だ・・・。で君はこの後どうするのだ?」

 


安心は失言じゃないのか?ようやく目的が見えてきた。となれば条件をより良いものにしよう。

 


「この後は搾り取れるだけカジノで普通に遊んで搾り取るつもりだ。装備品もないと言っていたからな。より資金がいる。オレはイカサマしているわけでもない。あくまで他の一般客と同様に普通に遊んでいるだけだ。

 


出禁にされる可能性もあるだろうが・・・出禁にされるならこちらにも考えはある。力をつけた後、この世界のすべてを破壊しよう。現状なにもしていないオレを罪に問うことはできないだろう?幸いオレ達来訪者は死んでも蘇るからな。そちらの暗部を使って消そうとしても無駄だ。無理にでも刑を執行しようものなら、来訪者達の神も黙ってはいない。蘇る20万強の兵士達とこの世界との戦争だな。この答えで満足か?」

 


きっと美貴がなんとかしてくれるでしょ。美貴が無理だとしても司お姉様がなんとかしてくれるはず。・・・なんとかしてくれるよね?ねぇお姉様方・・・?勢いで言ったけど、後戻りできないよこれ。