闇と光 第27話 走れ

はい。では服屋さんに向かいましょう。いつものようにアリスと会話を弾ませながら、オレ達は歩いていた。いつも?なにが言いたい?たしかについ数時間前に出会ったばかりだが・・・。それは言わないでくれ。気分の問題だ。

 


アリスに話を聞くと、服のオーダーメイドも可能ということ。大抵ここで揃うらしい。そして来訪者用にさまざまな服が追加されていた。運営よ。本当にどこを目指している。アリスなら何着ても似合うだろうなぁ。美貴も似合いそうだな。美貴もかなり可愛いからな。タイプだ。アリス?アリスもタイプだよ?とりあえず美貴の分も買っておこう。

いつか2人にオレ監修のオーダーメイド服をプレゼントしよう。

 


どうやら服屋に着いたようだ。アリスは似合いますか?と聞いてくる。なんだこの可愛い生き物は。お互いに似合いそうな物を選んだ。もちろんオレは露出の多めのものを選んださ。当たり前だろ?アリスは基本ディーラー用の服で過ごしていると言っていた。仕事一筋だったんだからしょうがないよね。わかるよ。ところで寝る時は何派なんだろうか。露出が多め派だと嬉しい。

 


ひと通り全身コーデできるように買っておいた。靴や下着も買い揃えた。小物、アクセサリー類はもっとお金を稼いでから別の日に選ぶことにしよう。一気に買ってもよかったのだが、オレは買わなければいけないものを発見したのだ。お会計は約70万円。3人分大人買いしました。別にケチるところじゃないしいいんじゃないかね。どのくらいここで過ごすかわからないし、ありだろう。

 


「こんなにいっぱいよかったんですか?」

 


「大丈夫だよ。またすぐに稼ぐから。それにオシャレしないとせっかくアリスが可愛いのにもったいないよ」

 


「もう慶太様ったらお世辞が上手なんですね。じゃあ次は食料品を買いに行きますか?」

 


お世辞じゃないぞ。アリスよ。事実である。食料品を一緒に買っていると夫婦みたいでいいなとは思うが、オレにはやることがある。この至福の時間は名残惜しいが、こちらの方が優先すべきことだ。物価は日本と同じ設定だったので10万円くらい渡しておけばよいだろう。

 


「ごめんアリス。ちょっと寄るところがあるから買い物しててくれないか?また部屋の中で合流しよう。これで足りるかな?」

 


「わかりました。では後ほど合流しましょう。って・・・こ、こんなになくても足りますよ」

 


「余るようなら持っていてくれて構わないよ。じゃあお願いするよ」

 


手を振りながらオレ達は別行動になった。手を振る姿も可愛らしい。そうしてオレは再び服屋に向かった。オレはあれを手に入れなければならない。オレはあるコーナーを見つけたんだ。

 


やばい・・・。あれもこれも捨てがたい。美貴に似合いそう。うーむ・・・これだけの種類を揃えているのは元からなのか、来訪者用なのかわからないがありがとう運営様。神運営だよ。脳内で美貴と合成しながら選んでいるといつのまにか結構時間が経っていたようだ。まずいな・・・。アリスより早くマイルームに行かなくてはならないのに。会計は200万円ほどになった。また稼いだら買おう。そうしよう。

 


ん?何を買ったかって?

 


各種コスプレ用品2セットずつ、チャックのついた下着や薄手の下着他いろいろ、小道具もあったので買っておいた。なぜ2着かと言うと汚したら大変でしょ?そうでしょ。うん。というわけでアリスより先に着かなければならないのだ。片付けなければならないからな。

 


走りながら、集中する。

 


足に部分強化。だが遅い。

 


練気しつつ、足にもっとマナを集中させる少し速くなった。それでもまだ遅い。

 


薄いマナの膜を大きくなるように。さらにマナの出力を上げるイメージを持つ。また少し早くなった。

 


スキルを獲得しました。

闘気・・・練気の上位版。マナを込めるだけ能力上昇。

 


なんか生えた。これが闘気か。すごい勢いで体内からマナが消費されていくのを感じる。マナを外から取り入れないとこれは使えないな。だが常時スキル使用しながらマナを取り入れていたオレには死角はない。もっと速くなれよ。熱くなれよオレ。

 


オレは風。風のように疾く駆け抜けろ。オレのマナよ。爆発しろぉぉぉ。

 


あ、速くなった。

 


スキルを獲得しました。

命唱・・・命唱と宣言する。己に命じ唱えることで自身を強化する。強化値は格、使用マナ量、言葉、込める思いにより変動する。

 


おおかっこいいやつだ。厨二病的に言えばいいやつだなこれは。こういうのは前にネット小説で読んだことがある。というかこの性能、終盤クラスのスキルじゃないのかね。もうすぐ着くんだけどせっかくなので使ってみよう。

 


「命唱。我は風なり。風の如くいざ駆け抜けん」

 


って速すぎるうううう。通り過ぎてるううう。マナもやべええええええ。解除、解除おおおおおお。

 


ふぅ・・・。これは練習と鍛錬が必要だ。制御できないし。マイルームまで近いとこまできていたのが仇となった・・・。もう普通に闘気で走ろ・・・。

 


やっと・・・着いたぜ。転移する前に壁の中に秘密の収納スペースを配置。さらにお着替え用のスタンドミラーを新たに。あとは武器を買ったので訓練できるように庭に訓練場各種セットをいれてと。庭ってものすごい広いんだなマックスにしたのは自分だけどさ・・・、これで5%も容量使ってないよ。どんだけーー。ってこんなことしてる場合じゃない。早く片付けなければ。

 


オレは光に包まれ転移した。

 


「あ、お帰りなさい。慶太様。今片付けてるとこなんですよ。この後からきた洋服とかってどこに置きますか?」

 


「た、ただいまアリス。それはこっちに置こうと思うんだ」

 


マナをリモコンの要領で注ぎ込むと壁が開いていく。

 


「わぁ〜〜。じゃあ片付けますね」

 

 

 

遅かったあああああああああ。