闇と光 第30話 進化
ん〜〜。気持ちいい。お風呂の準備ができたということなので今シャワーを浴びている。汗をかいた後のシャワーって気持ちいいよね。シャワーを滝行のように頭から浴びるの好きなんだよね。滝行だけにマイナスイオンでも出ているのだろうか。水流が顔に沿って流れ落ちていく様が落ち着く。
「慶太様。お背中を流しますね」
ん?幻聴か・・・。アリスの声が聞こえたような・・・。恐る恐る振り返ってみるとそこにはアリスが笑顔で立っていた。隠す気もないらしい。おかげで視線はアリスにロックオンされてしまったではないか・・・。うーむ。AよりのBか・・・。そしてワンフィンガー。銀髪の人は体毛も銀らしいな。運営良くやった。外人に憧れていたんだ。ってそんなことをしている場合ではない。オレはアリスをロックオンしながら言った。
「ア、アリス?なんでここにいるの?」
「背中を流すのも従者の勤めですから」
「いやそこまでしなくてもいいんだよ?それに隠してないけど・・・見られて大丈夫?」
「いえ、私がしたいからするのでお気になさらないでください。すみません・・・。このような体では慶太様の目を汚してしまいますよね・・・。私のすべては慶太様の物なので見られても構いません・・・」
「いや、目を汚すなんてとんでもない!魅力的でセクシーな体をしていると思う。ずっと見ていたい!目の疲れが一気に吹き飛ぶよ!」
目が汚れるなんてとんでもない。オレのマナちゃんは既に暴走モードに突入している。アリスのちょっと恥ずかしそうな顔もまた、たまらない。しかし隠すものがない。まぁ見られてもいっか。諦めが肝心である。
アリスにされるがまま洗われている。人に洗われるのって気持ちいい。特にシャンプーされてるのが・・・。アリスの柔らかな手も相まって気持ちよさの次元をあげている。アリスの匂いもまた格別である。
「次は前洗うのでこっち向いてください」
「え、前は自分で洗うから大丈夫だよ」
「私は必要ないんですね・・・」
「そ、そんなことはない。アリスは大切でオレにとって必要な人だ」
「ではこっち向いてください。あっ!洗いやすくなってますね。ふふっ」
「アリス。そこはデリケートだから洗うならタオルなしで頼む」
アリスに悲しい声でそんなことを言われてしまったら、オレは喜んでそちらを向く。再びアリスにご対面。視線が上から下。下から上と勝手に移動していく。妖術にかけられてしまったようだ。
すまんアリスよ。アリスを見たときから洗いやすくなっていたよ。せっかく洗ってくれてるから、どうせならタオルなしで洗ってもらいたかったのでお願いしてみた。アリスは笑顔で洗ってくれた。アリス・・・。仕える相手を間違えたんじゃないかと言ってあげたい。アリスの柔らかな手の感触が泡と混じり気持ちいい。心臓の音が大きくなっている。聞こえているのではないかと錯覚するほどに。
「じゃあ流しますよ〜〜」
「待って。次はオレがアリスを洗うよ」
「そ、そんな・・・。私のような者に慶太様の手を煩わせるのは・・・。それにこんな体触ってしまっては慶太様の手が汚れてしまいます」
「いや汚れるどころか浄化される。むしろ洗いたい。洗わせてくれ」
「で、ではお願いします」
洗ってもらったら、洗い返してあげるのが礼儀だよね。アリスを入念に洗った。アリスの息が乱れていたり、何か声を放っていたが気にしない。ただもっと聞きたい。そんな声だった。その後、何回もお互い入念に洗いあっていた。時を忘れるくらい夢中になってしまったようだ。今は浴槽に並んで入っている。はっ!今こそあれを使うときなのではないか。
「気持ちいいねアリス。ほら・・・こんなのもつけたんだよ。寝っ転がって見てごらん」
アリスが沈んでしまうと悪いので自然にアリスを抱き寄せ腕枕をした。
「わああ〜〜!星空が綺麗ですね。お風呂に入りながら星を見るのって素敵ですね」
「いや星空よりもアリスの方が綺麗だよ」
「ご、ご主人様ったら・・・」
アリスは顔を赤らめていた。見られるよりも言葉の方が恥ずかしいらしい。今後の参考にさせてもらおう。上には満天の星空。浴槽の水面に映る星が神秘的な雰囲気を醸し出していた。オレの隣にまんまるお月様が2つ浮かんでいる。さらにアリスの美しさ。絶景なり。
アリスはもう少しお風呂に入っているというので、オレは先に上がった。いい時間になっていたので、今日は寝ようと思う。明日からはアリスと一緒にソファーでお酒を飲みたいなと思った。
「慶太様もうお休みになりますか?」
「ああ。夜も更けてきたしな」
「では私はこちらで寝ますね」
「ソファーで寝なくてもいいんだよ。オレがそっちで寝るからアリスはベッドを使っていいよ」
「慶太様を差し置いてベッドでは寝れません」
「わかった。じゃあオレがそっちで寝るよ」
そう言ってベッドに座る。そしてアリスに向かってベッドを2回ほどたたいた。
「アリスをそんな所で寝せれないからアリスもこっちね」
「は、はい。では・・・失礼します・・・」
アリスの顔が赤くなっていた。急にどうしたんだろう。オレ達2人はベッドに入った。隣にはアリスがいる。お風呂上がりのアリスの香りも心地良く、魅了されるような匂いがした。やばい・・・ドキドキして寝れない。お互いバスローブ1枚だ。お風呂でのアリスを思い出すと目が冴えてしまう。アリスとすりくんタイムをしたい・・・。でもそんなことはお願いできない。さすがに自重しよう。
「慶太様。失礼します」
アリスが抱きついてきてくれた。これはすりくんタイム突入の兆し。そう思っているとアリスの手は思わぬところにやってきた。オレのマナちゃんはとっくの昔に暴走してるんですが・・・。な、なにを・・・。
「・・・アリス?」
「慶太様のお世話は私の仕事ですから。それに私をお気に召して頂けたようでしたし・・・」
え、アリスさん?そんな手つきで手を動かさないで。とりあえずアリスの方を向くとしよう。アリスはバスローブを着ていなかった。そのチャックはどこかで見たような・・・いつのまに・・・。
「慶太様が好きだと言っていたのでお借りしました」
笑顔で言うな、アリスよ。たまらず抱きしめてすりくんタイムに突入してしまったオレが言えることではないのだが・・・。アリスはアリス特有のいい匂いを放っている。
「慶太様。お好きなようにしてください・・・」
アリスよ。とりあえず手を動かすのはやめなさい。だがそれを言葉に出すことはできない。これが言葉に出せない切ない気持ちというものか。
「・・・アリス。そうゆうのは人を選んだ方がいいぞ。アリスにとって好きだと思う人とすべきだよ。オレが言えたものではないんだが・・・」
「私は慶太様をお慕いしております。カジノにいた時に慶太様と深くつながれた気がするんです。それに私を助けてくれました。私のご主人様は慶太様ただ1人なのです。尊敬もあります。お恥ずかしい話ですが・・・愛情も抱いてしまっています。私だって恥ずかしいので誰にでもこうするわけではありませんよ。慶太様が私の中で特別なのです。私もしたいと思えるから喜んで仕事をしているのです」
アリス・・・。それは好きということか。確かにつながったよ。アリスもそう思っていたとは驚きだが・・・。好意を持っているのはオレも同じだ。今すぐにでも・・・。しかしオレには美貴がいる。美貴のことが好きだ。その気持ちはごまかせない。アリスのことも同じくらい好きになってしまってはいるが・・・。
「その気持ちは嬉しい。だけどオレには美貴という気になる人がいる。アリスのことも同じくらい好きになってきている自分もいる。2人とも自分のものにできるならそうしたい。オレのいた世界では1人しか伴侶を持てないんだ。だからアリスの想いに応えてやりたいがオレにはできない・・・」
「こちらの世界では優れた者は何人でも夫、妻を持つことができます。アデルソン様も5人奥様がいらっしゃいますよ?もちろん慶太様の世界のように1人だけを伴侶にしたい方もいますが・・・。慶太様さえよろしければ私は何番目でもいいのです。おこがましいのですが美貴様を正妻にし、私は側室でも侍女でも構いません。私は慶太様に私のすべてを捧げたいのです」
それが許されるならそうしたい。アリスの気持ちに応えてやりたい。仮想空間というのが実に残念だが・・・。マナの力を使えば今のアリスを現実に具現化することもできるだろう。それだけマナちゃんは優秀だ。きっとできる。アリスはいずれお持ち帰り確定だな。
美貴がこのことを受け入れてくれるかはわからない。仮想のキャラに惚れるのはしょうがない。惚れたキャラが目の前にいる。そして好意を持ってくれている。ならあとは簡単だな。
「アリス。オレの女になってくれ。美貴が何というかはわからない。だがアリスだけはこの先ずっとそばにいて欲しい。アリスがオレは好きだ」
「はい・・・喜んで。私も慶太様が好きです。これからよろしくお願いします。美貴様は私もお手伝いしますのでご安心ください。あ、慶太様のお世話は続けますからね。イヤなんて言わないでくださいね?私の仕事ですから。では・・・私を好きなようにしてください」
「アリス。やっぱりご主人様って呼んでもらっていいかな?あとちょっと待ってね」
ご主人様と呼ばれたい人達の気持ちがわかった気がした。アリスならありだ。そしてオレはこの時のために用意していた仕掛けを起動した。壁に鏡を仕込んでいたのだ。ベッドとオレ達を映し出している。照明をピンク色にそして薄暗く設定した。この照明はパーティーの時にも使える優れものなんだぜ?
「・・・恥ずかしいですね。いっぱい私を見てくださいね・・・。ご主人様・・・。はじめてなので優しくしてください・・・」
ハイロリとアリスはすりくんタイムネオに突入した。
アリスは従者から侍女に進化した。侍女から彼女へ進化した。
ハイロリは彼女を手に入れた。