闇と光 第38話 忠犬アリス

帰ってきましたよ。もちろん西門に。道中獣達がちらほらいたが、不殺特典を期待して颯爽と駆け抜けてきた。お姉さん達の群れをゆっくりと抜け、アヤネちゃんの元へ行く。

 


静かに戸をノックする。恋人候補アヤネが戸を開けてくれた。オレは微笑みながら薬草を取り出した。

 


「そ、それは・・・。ハイロリ様ありがとうございます・・・」

 


彼女は再び泣いていた。今度は濃厚に抱き締める。無論、頭なでなで付きだ。

 


「それよりも弟くんに飲ませてあげないと」

 


名残惜しい気持ちはあるがさらなる飛躍のために先を急ごう。彼女は薬草を飲めるように加工した。彼女なりに弟のために勉強したそうだ。そして弟に飲ませる。すると弟の顔色は見る見るうちに良くなっていった。

 


「これで明日には元気になると思います。しかしこんな高価な物を頂いても私にはなにも返せるものが・・・」

 


「オレはアヤネちゃんが欲しい。一晩だけでもいい。アヤネちゃんを好きにさせてくれ」

 


自分の要求ははっきりと言っておく。欲望には忠実に。ついでに彼女を抱きしめながら背中を撫でる。

 


「私のような者でよければ、一晩と言わずいくらでも差し出します。あとアヤネとお呼びください。はじめてですが・・・お願いします」

 


バフ全開で抱きしめたのでアヤネの顔と耳は赤らんでいた。お許しを頂いたので、オレ達はすりくんタイムネオに突入した。

 


弟くんの隣の部屋だったので背徳感も相まりアヤネは途中から積極的になっていった。時間が経ち、夕焼けの光が差し込んでいた。終わる頃には彼女の心を盗めたようだった。彼女とは今すりくんタイムをしている。

 


「ありがとう。幸せなひと時だった。アヤネさえ良ければ生活の面倒は見るから道場に専念してくれ」

 


「ありがとう。一晩と言わず何度でも逢いに来て。それと剣も私が教えてあげるから。こう見えてもそれなりに強いからね」

 


実はアヤネの敬語は取り払うことに成功していたのだ。恋人ゲットだぜ。一生面倒を見よう。いずれは妻になってほしい。彼女が強いというので明日教えてもらうことにした。実力次第では昨日の道場の師範に据えてもいいかもしれない。彼女との別れのネオを済ましオレは帰路についた。ちなみにアヤネはAカップナチュラルだったな。いつか好みの形に整えてやろう。

 


こんなに簡単に恋人を手に入れれるとは思わなかったな。薬草の栽培をアリスが知っていればよいが、誰かに聞くことになりそうだな。聞くとしたらラルカスさんかアデルソンになるが・・・。これは物語の分岐になるような選択肢だな。まぁもちろんアデルソンは絶対にない。それは言い切れる。

 


「アリスただいまぁ」

 


「お帰りなさいませご主人様。先に私にしますか?それとも私ですか?」

 


アリスよ。選択肢が1つしかないではないか。もちろんそれ1つで足りるのだが。ちゃんと食事とお風呂の準備を終えてから言っているというのが可愛らしい。

 


「あーーっ!また違う女の匂いがします。こっちは・・・私じゃない匂いがするじゃないですか!」

 


さすがアリス。もはや犬レベル。忠犬とはこのような犬のことを言うのであろう。飼っていた犬も忠犬だがアリスには負けるぜ。

 


アリスは勢いよく抱きついてきた。そんなことをしてはエプロンがペロンってなってしまうではないか。器用に上下逆転した状態で抱きついている。膝をオレの腕の下から肩にかけ下でもぞもぞしている。もちろん阿吽の呼吸でアリスの腰を抱きかかえる。

 


「ごひゅじんさまもしてくだひゃい。こうゆうのおしゅきでしゅよね?」

 


もちろん好きさ。アリスよ。話す時は口に物をいれるのはやめなさい。ちょっと早いつまみ食いだ。二日間のネオの成果によりオレ達はアクロバティックネオも自然とできるようになっていた。しかしこれいいな。見事に口元にちょうどいいものがある。アリスの身体能力の高さ故に成せる技だな。誤解を招く前に言っておくが、アリスは真面目なだけである。オレに対して真面目になった健気でいい子なんだ。

 


その後、アリスが甘えん坊モードに入ったので夕食は遅れてしまった。今はアリスを後ろから抱く形で浴槽に寝そべっている。ふと思い出し、卵のこと、薬草のことを話した。完全に忘れていたのは秘密だ。明日の朝は卵料理が食べたいなと思いながら。

 


アリスに言ったらダメと強く言われてしまった。2人のマナを注いでペットにしたいそうだ。薬草に関しては栽培方法がわからないらしい。明日はラルカスさんのところへ一緒に行くことにした。

 


「それはそうとご主人様?恋人はどんな女性なのでしょう?」

 


アリスよ。表情と感情が一致していないぞ。アリスが公認のため隠す必要がない。ということで洗いざらい自供します。アリスとは隠し事がない関係でやっていけそうだ。もはやアリスが正妻になってるよね?まぁいつか結婚しようアリス。

 


話し終えるとアリスは自分も道場に一緒に行くと言った。オレに相応しいか品定めするようだ。アリスはいったいどのポジションを目指しているのだろうか。

 


お風呂を上がるととりあえずこたつに卵をいれた。2人でマナを注ぎこみながらこたつで晩酌タイムである。アリスは今日、大量のタオルを買ってきたと言っていた。ベッドに敷くためだそうだ。アリスはできた嫁だな。今日はこたつからすりくんタイムネオに突入することになった。