闇と光 第60話 第3回バトルロイヤル開幕
オレは泣いた。さっきよりも泣いた。4人に捨てられてしまったらしい。帰ってきても結局ひとりなんだよ・・・。
4人の笑い声が聞こえる。みんな謝ってくる。こっちは世界の終わりだったというのに。4人とも強く抱きしめてくれる。
「・・・ぞれやめて」
「ダーリン。ごめんなさい。さっき話してたんだ」
「ハイロリ様ごめんね。結婚はまだしないって話してた」
「ご主人様のそばにずっといますから。泣かないでください」
「慶太ごめんね。結婚する時は8人揃ってからにしよってなったのよ」
今の4人。ハイロリさん。そして他支部の3人が揃ってから結婚しようとなっていたらしい。本気で捨てられたと思った。メンタルがガラスでできてるからやめて。オレは女の子に泣かされた。ただどんなことをされても許してしまう。怒らない。彼女達にはヘソに入るだけで持ち玉が増えてしまうくらい激甘なのだ。
いじけたオレをみんなで慰め、好きコールをいっぱいかけやっと泣き止んだのだった。その後無事4人でネオに突入し、この日は朝まで共鳴作業は続いた。
うーむ。結局寝ないでしまった。久々の再会だししょうがないことだ。なぜかみんな元気だった。唯までも。どうやら一晩くらい寝なくても大丈夫になってきてしまったらしい。というかみんな半球睡眠をできるようになっているようだ。マナの力によりなんか勝手に進化している。マナちゃんは偉大である。唯はどうやら影響を受けやすい体質のようだ。どんどんオレ色に染めたいと思う。
朝食を済ませる。そして美貴が大型スクリーンに会場を映し出す。ほぅ・・・なかなか大規模な会場だな。夜に始まるということだった。会場にいくかと言われたがみんなとまったりしたいと言った。昨日のダメージがまだ抜けきってないんです・・・だってホントに寂しかったんだもん。続々と観客席に人が入っていく。
日本支部代表は第1回がアーサー、第2回がカポネ、第3回がアーサーということであった。アーサー君ぼっち卒業おめでとう。ひとりは辛いよな。うんうん。横断幕が持っている女の子達がいる。うわぁモテモテじゃんあいつ。結果としては3人の未来の女達が男をボコボコにして3人同時に降参するのが2年連続続いているらしい。
3人が仲良くなっていて嬉しく思う。アリスの言葉が原因らしい。なんて言ったのと聞いたら美貴とアヤネが答えてくれた。アリスが顔を紅らめながら聞いていたのでぽんぽんと頭を撫でてあげる。みんなして欲しいと言い出したのでみんなの頭を撫で回している。今日も平和だなぁ。
そうこうするうちに試合開始の時間が近づく。実況席にいるのがデキウスと教えてくれた。本物の神かエセ神なのかわからない。まぁあれは分体だろうな。強いマナは持ってるから運営じゃないと思う。となるとここは仮想空間ではないのかもしれない。オレの前にいるアリスもアヤネも確かにそこに彼女達特有のマナで存在している。住人達ひとりひとりも全員違うマナをしている。住人達が言うように、ここは宇宙のどこかにある惑星説がオレの中で浮上してきた。まぁエリアを進めていけばわかるかもしれないな。進む予定は特にないけど。
「さて準備するかな」
「慶太なにするの?」
「女の子達に挨拶に行こうかと。渡したい物もあるしまだ直接会ったことないからな。あとデキウスに頼みたいことがある」
「ダーリン。指輪買ってたもんねぇ」
「ハイロリ様。何を頼むの?」
「唯の姿を現実仕様にしてくれって頼む。聞いてくれないならちょっとだけデキウスと戦ってくるわ。勝てるとは思わないけど勢いが大事だよね」
「わぁダーリンありがと。ダーリン大好き〜」
「ご主人様!こちらを!」
「ああアリスありがとう」
オレはマントを羽織りフードで顔を隠す。そしてハイロリソードを腰に、ハイロリシールドを背中に身につける。首と指の骨を鳴らす。戦闘準備完了だ。
「さあ今日も実況はこのデキウスが務めさせてもらうよ!さぁメンバーは第1回以来の顔合わせ。みんな準備はいいかい?男達のやる気はビンビン感じるねぇ。女達は3人仲良くお話している。微笑ましい姿だ。僕も混ざりたいね」
あ?あいつ混ざりたいって言ったな。許さない。トリプルエンジェル達に混ざっていいのはオレと嫁達だけだぞ。
「アーサー君もだいぶ特訓を積んできたみたいだ。第1回の雪辱期待してるよ。さぁみんな試合開始のゴングまで10秒前だ!」
10
会場全体がカウントダウンしている。なかなか盛り上がってるな。
9
だがオレのトリプルエンジェル達だ。手を出すことは許さねぇ。
8
「ご主人様から殺気が漏れています」
7
「ハイロリ様。素敵」
6
「・・・もしかしてさっきの発言。慶太ダメよ!」
5
ドォーンッ!
デキウスがリングへと吹き飛ばされる。デキウスのいた実況席には黒い闇が漂っている。
「ダーリン過激ぃ」