闇と光 第145話 三面楚歌
宛城の闘いを終えて一夜明けた。ゴブ羽軍の将兵クラスともなると半球睡眠は当たり前のテクニックとなっている。ゴブロリが3人に早い段階で教えていた。すべてはより女の子を愛でるためにである。
ゴブ妻達も旦那と共鳴していくに従って半球睡眠を会得していく。ただし週に一度だけ交代制で普通に寝る日もある。これは休息のためではない。寝起きの時にのみ、脳天に直撃してくる濃厚な匂いを楽しむためである。この匂いは将兵達の中でもなかなか人気がでている。ゴブロリは何を教えているのかがちょっと理解できない。
ゴブ策とゴブ瑜も清々しい表情でゲルの外にいた。彼らはいつも隠れながら共鳴していたのだ。故に思いっきり解放できる悦びを知らなかった。昨晩はとても盛り上がったらしい。
「しかし羽ーくん。隠れないというものはいいもんだな」
「えぇ。周りの目を気にしなくていいのは心地良かったです」
「ん?そんなの毎日だぞ?うちの軍はあれが基本陣形になっている」
「策・・・やはりここは・・・」
「そうだな。羽ーくん・・・いやゴブ羽殿っ!!我らを配下に加えていただきたいっ!!」
「ゴブ羽殿っ!!私達を含めゴブ史慈以下25億の将兵達を受け入れていただきたいっ!!」
「・・・えっ?なんで!?来てくれるのは心強いけど・・・呉はいいの?」
「ゴブ羽よっ!!我が教えを思い出せっ!!
王たるもの・・・」
「偽りなき思いはその器にてすべて受け止めるべしっ!!」
「なら言うことがあるんじゃないか?」
「ゴブ策、ゴブ瑜よ。その申し出・・・受けようっ!!存分に我が軍にて励めいっ!!」
「「有難き幸せっ!!」」
「まっ普段はいつも通り仲良くしたらいいさ。なっ?ゴブ羽?」
「その通りだ。策っち、瑜ーちゃんこれからよろしくな」
「おうっ!!よろしく頼むぜ羽ーくんっ!」
「ふふ。羽ーくんよろしくお願いします」
ゴブ羽軍に心強い味方が加わった。ゴブ策、ゴブ瑜、ゴブ史慈さらには25億の飛行部隊が加わることになる。。兵力順に行くと魏>蜀>妖>呉。兵力で3番目になることができた。隠し黑州兵をいれれば蜀すら抜いているのはゴブロリしか知らない。
「失礼しやすっ!!ゴブ羽様っ!!緊急の早馬が届いたでござるっ!!」
ゴブ蔵よりもたらされた情報により、ゴブ羽軍に戦慄が走る。
魏挙兵。妖軍に向かい進軍中。その数約80億。
呉挙兵。妖軍に向かい進軍中。その数約25億。
蜀挙兵。妖軍に向かい進軍中。その数約50億。
「このままでは3方面から囲まれてしまいますね・・・ちょっと考えたくありませんね・・・」
「ええ・・・どうやら昨晩の件で各国の我が軍に対する危険度が増してしまったようですね・・・なにか打開策はないか・・・」
「ゴブ良っ!!それにゴブ瑜もだっ!!思考を止めるなっ!!止めた先にはなにもないっ!!常に頭を動かせっ!!幸いにもまだ手はあるっ!!」
「まず呉軍に対してはゴブ策、ゴブ瑜に対応してもらう。ゴブ史慈がおそらくゴブ権の猛攻を耐えているはずだ。急行せよっ!!
ゴブ信お前も行けっ!!ゴブ瑜の指示をよく聞きことにあたれっ!!時間との勝負だぞ?ひと月内にケリをつけろっ!
ゴブ策っ!!小覇王と呼ばれるその名・・・期待させてもらうっ!!
ゴブ瑜っ!!億に匹敵するゴブ信を見事に使いこなして見せよっ!!」
「「「御意っ!!」」」
「次に魏軍。ゴブ良っ!!
ゴブ吉、ゴブ子、ゴブリー、ゴブ蔵、ゴブ超さらに黑州兵を50億預けるっ!!ひと月でいい・・・どうにか持ち堪えろっ!!できるなっ!?」
「このゴブ良の名にかけて必ずやっ!!
しかし・・・ほぼすべての兵力が出揃っていますが蜀軍はどうされるのですか?」
「ふっ・・・決まっているだろう。うちの王・・・ゴブ羽がやる。ゴブ羽軍1万そしてオレが行く。さらに黑州兵の愛天地人各隊長とエリート兵100人ずつの計404騎だけでいい。後はなんとかする。
今回ばかりは暴れ足りないとは言わせないぞゴブ羽よ?それとも50億でも足らぬか?」
「ゴハハハッ!!充分だ・・・叩きのめしてやるよ」
「オレも行くから安心して暴れろ。フォローはオレがすべてしてやる。ゴブリンガードは各部隊の連携役として働いてもらうっ!!いいなっ!?」
「「「「「御意」」」」」
「まぁ仕切ったものの・・・決めるのはゴブ羽殿っ!!貴方様の役目に御座います。ご決断をっ!!」
「ゴブロリの策に異論のある者はおらぬようだな。ならば各軍それぞれの敵にあたれっ!!この星の平和のため我らが敗れることは決して許されぬっ!!
ゴブ羽軍の恐ろしさ・・・星中に知らしめよっ!!我が覇道の踏み台にしてくれようぞっ!!
全軍っ!!生きてまた会おうっ!!」
「「「「「ゔぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
ゴブ羽軍はそれぞれの闘いへと赴いてゆく。
ゴブ良・各将軍50億対魏軍80億
ゴブ策・ゴブ信軍25億対呉軍25億
ゴブ羽・ゴブロリ軍1万対蜀軍50億
妖精の星を舞台に星全土を巻き込んだ闘いが始まろうとしていた。迫り来る各国・・・ゴブ羽軍はこの局面を突破することができるのであろうか・・・。
「ゴブ良殿・・・OK牧場なので?かなり厳しい戦になるでござるよ?」
「ゴブ蔵殿・・・この程度で根を上げてしまったら師に合わせる顔がありません。我らよりも兄上と師の戦が1番絶望的ですからね。あれほど集中している師を見るのも初めてです。
さて・・・軍議をしましょう。相手は最強の軍です。緻密に策を練らなければあっという間に全滅してしまいます」
「なぁ?ゴブ信殿・・・羽ーくん達に兵を回した方がいいんじゃないか?」
「兄者がやると決めたならやってくれる。そういう漢だ。それにゴブロリ先生もついている。信じて我らのできることをするしかあるまい。ほら?ゴブ瑜殿はやるべきことを既に始めているようだぞ?」
「・・・瑜っ!!この小覇王を骨の髄まで絞りつくし使いこなしてみろっ!!必ずひと月でケリつけんぞっ!?」
「元よりそのつもりですよ。しかし・・・ゴブロリ殿とはいったい・・・今は目の前のことに集中するとしましょう」
さて・・・仲間を信じる他ないな。目の前の敵に集中しなければ簡単にやられてしまうだろう。
まずはゴブ羽を餌にし、他の軍への挟撃を避ける。挟撃されたら一気に劣勢に追い込まれてしまう。主君の命を囮に使うのは減点ポイントだが・・・狙いはゴブ羽だ。こちらに蜀軍の目が向いてくれればよい。
敵の総督は奇しくもゴブ紹・・・おそらく蜀軍との最終決戦の地は官渡あたりになるだろう。物語通りの兵糧攻めは無理だろうな・・・たぶんゴブ豊(ほう)やゴブ授(じゅ)も従軍しているはずだ。かつて曹操が勝てたのは2人の言うことを袁紹が聞き入れなかったという要因が大きいはずだ・・・果たしてゴブ紹はどうか・・・。
二枚看板と言われていたゴブ醜(しゅう)もいるはずだ。ゴブ良の方は既に抑えているのでいないと思いたい。もしいるならば軍神のゴブ羽もいていいはずだ・・・なのできっとそれは大丈夫だろう。
まずは官渡に至るまでの局地戦を制していかなければならないな・・・物語の曹操もこんな気持ちだったのかな。勢力はそこそこ広げてきたけどしょうがない・・・手持ちのカードはすべて使うしかないよなぁ・・・。
勝たなければゲームオーバー・・・またやり直すのはさすがにだるい。ノーコンクリアしてやっからな・・・見てやがれ変態神。