闇と光 第148話 第2次長坂坡の闘い

ゴブ羽はかつてゴブ備に追われた地まで撤退していた。長坂。再びこの地で闘いは繰り広げられる。ゴブ郃自ら先頭に立ちゴブ羽を追ってくる。しかし決してゴブ郃はゴブ羽と剣を交えようとはしない。兵を巧みに動かし周囲の兵を着実に削っている。

 


撤退戦は蜀軍優勢。ゴブ郃の中ではゴブ羽を追い詰める算段がついていた。しかしそれは幻・・・ゴブ羽がゴブ馬俑を使えばいつでも兵を補充することができるとも知らずに・・・。

 


「ゴブ羽っ!!観念しろっ!!首を差し出せば兵達の命は助けてやろうっ!!」

 


「てめぇこそ今首を差し出せば部下達の命は助けてやんぞっ!?大局が見えぬ愚かな将を持つとは兵達が可哀想だなっ!!」

 


「残り数百騎程度の貴様が何を言うっ!!全軍ゴブ羽を丸裸にせよっ!!もうすぐ長坂橋に入るっ!!障害物は何もないっ!!突撃せよーーっ!!」

 


ゴブ郃の号令により蜀軍が一斉に速度を上げる。ゴブリン星の長坂橋。それは全長20キロにも及ぶ橋であった。幅は約40メートル。ゴブ羽軍の元へ整った縦列をとりながら追撃してくるゴブ郃軍。その距離は100メートルを切っていた。次々にゴブ羽軍の兵士達が薙ぎ倒される。ゴブ羽に付き従う兵は僅か数騎まで減っていた。

 


「朱愛(レッドアイ)よ。もう少し持ち堪えてくれ。ゴールは目の前だっ!!」

 


「ブヒヒィーンッ!!」

 


かつてゴブ布が乗っていた馬。赤兎馬である。ゴブ羽に懐き、なぜかゴブ羽の愛馬に変わっていた。師の愛馬になぞらえて朱愛という名前をつけた。

 


朱愛が橋を渡り切った時それは起こった。ゴブ羽が朱愛より高く飛翔する。天には斧槍が掲げられている。

 


「ゴブリンクラッシャーァァァァッ!!」

 


橋に斧槍が叩きつけられる。巨大な地震が橋を襲う。一斉にゴブ郃軍は落馬し、衝撃波に襲われる。そして橋が大爆発を起こしていく。さらに衝撃波が消えるとゴブ郃軍の背後より黑州兵のエリート達が襲いかかった。ゴブ郃軍は橋を落とされたため、退路なき闘いを強いられている。

 


この大爆発・・・実は前回の闘いでゴブガードに仕掛けさせていたものである。予想外のことが起きて使う機会がなかった。それを今回利用した。もったいないから使おうぜというゴブロリの一言によりここに向けて撤退していたのだ。ゴブ羽もまた橋を壊していいと言われていたのでノリノリであった。

 


「ゴシシシッ!!爽快っ爽快っ!!おっと・・・トドメをさせと言われていたんたったな・・・このままじゃ先生にお仕置きされちゃうぜ。

 


ゴブ馬俑っ!!出番だぜっ!!」

 


海中からゴブ羽の作り出した兵達が剣を掲げながら大量に現れる。落ちてくるゴブ郃の兵達は次々と串刺しになる。1人だけ空中に逃げていたゴブリンがいた。

 


「このゴブ郃っ!!その程度ではやられはせんぞっ!!この刃を受けぃっ!!」

 


ゴブ郃が空中よりゴブ羽に襲いかかる。その剣はゴブ羽に届くことはなかった。ゴブ郃の頭はゴブ羽によって握り潰されていた。

 


「三下に用はねぇんだよっ!!」

 


「そこまでですっ!!こちらを見なさいっ!!ゴブ羽よっ!大人しく投稿することをお勧めしますよ?」

 


「朱愛っ!!ゴブ正め・・・」

 


朱愛を人質にとっているゴブ正軍の姿がそこにはあった。黑州兵の隊長達が転移からの奇襲を仕掛ける。しかしゴブ正の手により、転移してくると同時に吹き飛ばされていく。

 


「ブルルルゥ!」

 


「さぁこの子の命が惜しければ捕縛されていただきましょうか」

 


「朱愛・・・!?わかった・・・其方になら捕まってもよい。朱愛にちゃんと餌をやってくれよな?」

 


ゴブ正の手により捕縛されていくゴブ羽。そしてゴブ羽はゴブ紹の待つ白馬へと連れて行かれることになった。この砦はゴブ羽軍が最初の撤退戦で失った拠点である。白馬より後方の砦の将は愛天地人の隊長達によりすべて討たれていることに未だ蜀軍は気づいてすらいない。蜀軍は後方の退路が断たれていることを知らぬまま、捕縛したゴブ羽を場内に招き入れることになる。

 


「ゴブ正よ。見事なりっ!!ゴブ羽を捕らえてくるとは流石であるっ!!それにお主の言う通り鼠が潜んでおったわ。そいつらも連れて参れっ!!」

 


連れてこられる3人のゴブリン。

 


「「んゔぅぅぅっ!んっんっ!」」

 


「この2人諫言ばかり吐きおって・・・五月蝿くてかなわぬ。ゴブ正の言う通りに舌を抜いて正解だったわ」

 


「ん?ここはどこだ!?はっ・・・!!

 


ゴブ紹殿っ!!ゴブ正首謀の元、貴殿に毒を盛る計画が迫っております!!此度はそれを伝えに参った次第でありますっ!!」

 


連れてこられたのは舌を抜かれたゴブ授とゴブ豊、そしてゴブ邦であった。

 


「さすが・・・星下に轟く大悪党・・・口が達者な用だなっ!!ゴブ正に聞いておるぞっ!!首謀者ゴブ邦、ゴブ授、ゴブ豊・・・よくもこの私に毒を盛ろうとしてくれたなぁっ!?」

 


「なんだって!?オレは何もやってねぇっ!!そうだ・・・ゴブ門はどこだっ!?あいつならオレの無実を証明してくれるはずだっ!!一緒にあんたへの献上品のロリ桃を盗みに行っていたんだっ!」

 


「・・・ゴブ正よ?ゴブ門とやらは知っているか?」

 


「いえ・・・知りませぬなぁ。それにロリ桃を盗む?ゴブ羽軍の難攻不落の空中農園・・・貴様ごときの力で侵入できるはずはあるまいっ!!」

 


「・・・だそうだ?ゴブ邦よ・・・観念せいっ!!往生際が悪いぞっ!!」

 


「待ってくれっ!!オレを信じてくれっ!!嘘なんて言っていな・・・」

 


騒ぎ立てるゴブ邦の前にはゴブ正が立っていた。

 


「死ぬ時くらいは観念した方がいいですよ?それに簡単に信じるお前が悪いでござるよ?ねぇ?マヌケな先輩さん?」

 


「き、貴様ぁぁっ!!ゴブも・・・」

 


ゴブ邦の首が宙を舞う。ゴブ正の剣によって首が飛んでいた。ゴブ羽の天敵と成り得る大器はいとも容易く打ち砕かれた。

 


このゴブ正・・・正体はゴブロリである。ゴブ正は既にこの世にはいない。ゴブロリはあの後、ゴブ正達にロリ桃を献上しにいったのだ。

 


ゴブ正達は予約が数十年待ちのロリ桃を見た瞬間にゴブロリ扮するゴブ門に警戒を解いてしまっていた。ロリ桃を見ただけで彼らは抜刀状態になってしまったという・・・魅惑のロリ桃に魅了されてしまったのだ。

 


ゴブロリは後に言う。頭がいいやつほど変態である。持て余す頭脳のどこかに卑猥な妄想が潜んでいる。迸るエロスには抗えない。徹底的に魅力的に仕上げたロリ桃の前では我慢できなくなることであろう。

 


変態ほどロリ桃を好む。ゴブロリとゴブ美、ゴブ羽三兄弟・・・特にゴブ良そしてその妻達・・・変態度が増すほど桃の魅力に取り憑かれてしまう。

 


ロリ桃とは魔性秘めたる魅惑の果実なのである。ゴブロリとゴブ美は毎晩ロリ桃に囲まれながら地鳴りを起こしていた。ゴブロリのお気に入りはただのロリ桃ではない。ゴブ美印のロリ桃が好みの果実のようだ。飽きることなく何度も味わっている。

 


ロリ桃・・・それはエデンの園に置かれた禁断の果実とも言えるような禁忌のフルーツであった。