闇と光 第159話 下邳城の闘い

ゴブ羽はゴブ良、ゴブ瑜の策により窮地を脱した。ゴブ操はゴブ羽殺害の好機を逃す。ゴブ羽軍は皇帝ゴブ操から身を隠すために潜伏している。そしてゴブ良は捕縛された。人質として利用する方が有効であると魏軍は判断したようだ。

 


潜伏しながらゴブ羽軍はゴブ良の居場所を探っている。この広大な妖精の星。隠されているものを見つけるのは容易ではない。

 


「ゴブ羽様っ!!ついに判明しました。ゴブ良様の居場所は大規模収容施設下邳城にございます。何階層に捕らえられているかは不明ですが・・・おそらく最下層かと思われます」

 


「よくやったゴブ蔵っ!!これよりゴブ良救出戦の軍議を開くっ!!全将兵を招集せいっ!!」

 


慌ただしく集められるゴブ羽軍の将兵。そしてそこにはゴブ良が妻・・・英と姫の姿もあった。彼女達は旦那の救出に燃えていた。戦が始まる前からスパーキング状態である。

 


罪を犯したゴブリンが収容されるゴブリン星随一の監獄・・・下邳城。そこにゴブ良は幽閉されている。もちろん内部の警備は厳重。外部の監視もゴブ操が皇帝を称してから強化されていた。

 


守備兵の数は少ない。しかしこれは罠である。ゴブ良を助けにきたゴブ羽の息の根を止めるための罠。おそらくゴブ羽軍が現れた時、魏の全軍が襲いかかってくるに違いない。救出と言っても簡単に行くものではないのである。

 


「・・・オレがいく。念の為ゴブ蔵も共にきてくれ。潜入するには少数精鋭でいくしかない。我が軍で適任者はオレとゴブ蔵しかいない。他は途中で見つかるリスクが高い。

 


しかし単純に潜入といってもこの警備では不可能だ・・・」

 


「「その任私が請け負いますっ!!」

 


ゴブ良とゴブ瑜が同時に応える。2人もまたスパーキング状態。軍を動かし、囮役として潜入路を確保するというのだ。それを聞き、ゴブ羽、ゴブ信、ゴブ策、ゴブ蔵も呼応したかのようにスパーキング状態へと変わる。ゴブロリ以外皆スパーキング・・・仲間外れとなったゴブロリ。

 


このスパーキング強化状態・・・妖精ゴブリン族に伝わりし秘法なのである。ゴブリン族にしか使えない。故にゴブロリといえども模倣することができなかった。

 


ゴブ羽軍の古株そしてゴブ策軍は家族同然なのである。仲間を大切に思うがため・・・誰もがゴブ良の救出を望んでいた。

 


ゴブロリ、ゴブ蔵を除くゴブ羽軍約10億。そのすべてが潜入のための陽動となる。対する魏軍約40億。ゴブ操の徴兵令により戦力は増強されていた。

 


下邳城を舞台に決死の攻防戦が繰り広げられようとしている。

 


「全軍っ!!これよりゴブ良を救出するっ!!皆の力・・・貸してくれっ!!」

 


「羽ーくん・・・どうやらきたようです。

 


3大隊・・・それぞれ10億、20億、10億の構成・・・左翼はゴブ遼。右翼がゴブ褚。中翼がゴブ操といったところでしょうか。

 


右翼は頼みましたよ策っ!!」

 


「おう任せろっ!!」

 


「それならオレが左翼・・・ゴブ遼に当たるっ!!相手にとって不足なしっ!!」

 


「ではオレがゴブ操の相手をする。ゴブ瑜は全体のフォローを頼むっ!!」

 


「「いらねぇっ!!」」

 


「瑜は羽ーくんのサポートに回ってくれ」

 


「兄者ひとりだと危なっかしいから頼んだぞ瑜ーちゃん」

 


「任されたっ!!それでは中翼は5億の兵。他は2億ずつ率いて向かいましょう。

 


ゴブロリ殿っ!!ゴブ蔵殿っ!!出来る限り早期の救出を頼みますっ!!」

 


「帰ってきたら全員お陀仏は勘弁してくれよ。生きてまた会おう」

「御意っ!!」

 


左翼ゴブ遼軍10億対ゴブ信軍2億

 


中翼ゴブ操軍20億対ゴブ羽軍5億

 


右翼ゴブ褚軍10億対ゴブ策軍2億

 


再びゴブ羽軍は圧倒的兵力差の中の闘いに臨む。時間がかかってしまっては壊滅必至。ゴブ羽軍そしてゴブ良の命運は2人の漢に託された。

 


「ゴブ蔵。情報を得た時どこまで潜入した?」

 


「残念ながら2階層までです。最下層は7層という噂にございます」

 


「まぁ・・・ついてこれるよな?ゴブ蔵?」

 


「ゴシシシッ!!もちろんっ!!師に叩きこまれた潜入術・・・成長した姿を見せましょう」

 


ゴブ蔵の口調は普通に戻っていた。やはり獣魔3匹の悪影響が原因だったらしい。ゴブ蔵もまたゴブロリの弟子である。2人きりの時は師と呼ぶ。隠密師弟がゴブ羽軍の奮戦する中、下邳城へと潜入を開始した。

 


「よく統率されているな・・・ここの警備」

 


「ええ・・・潜入するのには一苦労でした」

 


「まっ統率されすぎているのが仇となっている。警備がパターン化しているからそれを把握すればすり抜けるのは容易い。ついてこいよゴブ蔵っ!!」

 


「承知っ!!」

 


2人はするすると警備網をくぐり抜け、どんどん下の階層へ侵入していく。3、4、5層・・・そして軽々と7層へと辿り着いた。

 


ゴブロリの潜入術は神ががっている。すべては覗きのため・・・嫁達の無防備な恥ずかしい姿を見たいがため洗練されていったのだ。嫁達はそんなゴブロリの姿を見つけることができれば2人きりでゴブロリと過ごすことができる。誘惑すればゴブロリなどチョロい。

 


それ故に嫁達の看破能力も神ががっていた。覗き・・・それは愛する夫婦が繰り広げる熱き戦争なのである。

 


「・・・ここは最下層じゃないかもしれないな。ゴブ良がいるとは思えない」

 


「所詮は噂・・・さらなる層があったとしてもおかしくはありませんね」

 


「探すしかないか・・・見つからぬように手分けして探そう。合流は半刻後・・・再びこの地点で落ち合おう」

 


「御意」

 


一方その頃ゴブ羽は魏軍の各将兵に苦戦を強いられていた。ゴブ操率いる大隊・・・将兵が集まっていてもおかしくはない。ゴブ典、ゴブ艾と激しく闘り合うゴブ羽。武器がぶつかると思われた時2つの風がゴブ羽の真横を通り抜ける。吹き飛ばされゆくゴブ典、ゴブ艾。

 


「「ここは私達にお任せくださいっ!!」」

 


ゴブ英とゴブ姫の姿がそこにあった。言葉を言い放ちながらそれぞれ戦闘に入っている。2人とも普通に押している。勝つのは時間の問題であろう。

 


妻というのは恐ろしき力を秘めているであった。ゴブロリの教えを受けたゴブ羽軍。そしてゴブ美の教えを受けたゴブ妻達。恐ろしさもどうやら継承してしまったようだ。ゴブ羽は自身の妻に逆らうのは絶対に止めようと心に誓った。

 


漢とは尻に敷かれる運命なのである。妻達が望めば物理的に尻に敷かれることもいとわない。下から妻が地鳴りを起こす風景は絶景である。

 


「ゴブ良が妻ゴブ英っ!!敵将ゴブ典討ち取りましたわっ!!」

「ゴブ良が妻ゴブ姫っ!!敵将ゴブ艾刈り取りましたわっ!!」

 


2人が同時に勝ち名乗りをあげる。後に語り継がれる下邳城で行われた攻防戦・・・この戦で1番活躍したのはゴブ羽でもゴブ信でもゴブ策でもない・・・ゴブ美率いるゴブ妻軍が暴れまわっていた。魏軍の多くの将兵が彼女達の手によって討たれる。後に・・・彼女達もまた妖精の星の正史にその名を刻むこととなるのである。

 


「ゴブ蔵あったぞ。棚の戸を開けたら下の層への階段があった」

 


「さすが師・・・そのようなところからよく発見できる」

 


ゴブロリがこの入り口を見つけることができたのは日々の賜物である。毎日のように嫁達の下着を物色し、匂いを嗅いでいる。ちなみに1番いい匂いがした嫁が1番絞りをゲットできる傾向がある。

 


なので嫁達は脱ぎたてを意図的にいれておくことがあるのだ。もちろんそれは天性の嗅覚を持つゴブロリ・・・そんな嫁達を可愛く思いながら堂々と堪能する。本人は微かな残り香を楽しみたいがためにやっていたのだが新鮮な匂いには抗えない。

 


一夫多妻。夫の愛をたくさん受けるために影で嫁達は壮絶な争いを繰り広げている。それをゴブロリが知るのはもう少し先のこと・・・。

 


またゴブ女の中にはいい匂いのものもいた。普通に人族と同様のお姉さんの匂いがする。それ故にミリチャンにかけ、お姉さんの下着を探そうとしたのが幸いしたのであった。

 


「道は2つ。明かりのある方と暗い方か・・・時間はあまりない。二手に分かれるぞ?オレが暗い方に行く。我が闇のマナにかかればこの程度の暗闇どうということはない」

 


「御意」

 


暗視・・・これもまた暗闇でも嫁達の細部まで見たいがために備わった能力。共鳴中の無防備な嫁達の表情は最高のドレッシングであるのだ。

 


ゴブロリは基本的に嫁達をより堪能しようとして勝手に能力が向上している。そんな旦那の愛が欲しいために嫁達も強くなる。これが夫婦の絆というものなのだ?

 


それぞれ別の道を行く2人。果たしてこの先にゴブ良は囚われているのだろうか。