闇と光 第173話 第7エリアの大きな壁

白銀の門からマントに身を隠した人がゆっくりと歩いてきた。アヤネは姿を見た瞬間、身構え臨戦態勢となる。一瞬にして相手の強さを悟ったのだ。

 


「命唱。我はアヤネ。ハイロリ様の妻にしてハイロリ様の剣なり」

 


「・・・マントを剥がせたら名乗ってやるよ」

 


ボイスチェンジャーを使ったような声でレジェンドチャンピオンは話し出す。それはアヤネにとって屈辱だった。名乗るに値しない・・・自身の力が見くびられている。アヤネは命唱を重ねた。当然のごとくバトルフィールドが形成されていく。

 


「さぁ始まりましたっ!!レジェンドチャンピオン戦っ!!アヤネ選手はどこまでくらいつくことができるのでしょうかっ!?」

 


アリスもその様子を見ていた。アヤネの技が何もかも通じず、ただただ痛めつけられる試合とも呼べない闘い・・・。

 


「おぉっとっ!!バトルフィールドが消えていきますっ!」

 


僅か数分・・・展開されていたバトルフィールドは消滅した。何事もなかったかのように立っているグランドチャンピオン。アヤネは音も無く横たわっている。

 


「アヤネ選手が敗れてしまいましたっ!!グランドチャンピオンの壁はここまで分厚いのかぁっ!?」

 


観客達は静まり返る。歴代チャンピオン達が棄権するのも納得せざるをえないその実力。コロシアム全部門制覇・・・各部門を優勝しただけでは制覇とは呼べないのだ。そのためにはすべてのグランドチャンピオン達を倒さなければならない。来訪者達の前には大きすぎる壁が立ちはだかっていた。

 


「アヤネお疲れ様でした。あれは無理ですね・・・次元が違い過ぎます。でも・・・次は私が勝ちますからねっ!!」

 


「悔しいけど私の完敗・・・何も通じなかった・・・名乗るに値しないほどの実力差があったわね・・・でもハイロリ様の横に並びたいからいつか必ず倒してやるわっ!!もちろんアリスにも負けたくない。

 


でも正直に言うとそこにいる3匹がもうちょっと動けてたら私は勝てなかったわよアリス」

 


「そうですねぇ・・・動きがかなりゆっくりでしたもんね。やる気が足りないですっ!!わかってますね?ご褒美として特訓してあげますっ!!」

 


「「「・・・」」」

 


「・・・返事は?」

 


「「「はいマスター喜んでっ!!」」」

 


決して動けなかったとは言えない獣魔達・・・テイマーの世界ではテイマーによるパワハラが日常茶飯事・・・そしてこの先地獄の特訓を受けることになるのであった。戻ってきたハイロリのマナの影響を受けメキメキと実力を伸ばし、バトルフィールドを疾走する獣魔となるまではもう少し先のことである。

 


「たっだいまぁっ!!」

 


ハイロリが元気にマイルームに戻ってくる。しかしアリスとアヤネの姿がない。ハイロリの手には大量の手土産が・・・もちろんそれはロリ桃。美貴以外の嫁達とロリ桃のコラボが見たかった。ただそれだけの理由のために大量に持ってきたのである。

 


先に死に戻りした美貴の手により既に庭にロリ桃の苗木が植えられていた。ハイロリがきっと欲しがるから・・・その理由の通りハイロリはロリ桃栽培を狙っていた。ロリ桃の世話は獣魔達ができるからだ。生産ラインを確保することは頭の中で組み上がっていた。しかし何も言わずとも嫁が意をくみ勝手に行動する。これぞまさしく内助の功

 


後にこの星でもロリ桃は高値で取引されることになり、ハイロリは新たな財源を手にいれることになるのである。これ以上財源がなくてもまったく生活には困らない。消えても困らないお金・・・これが真の無駄金である。

 


アリスとアヤネが揃って帰宅する。獣魔達も一緒だ。獣魔達はハイロリの帰還を喜ぶがそれどころではないハイロリ。アリスとアヤネのロリ桃にロリ桃を押し付けることに夢中になっていた。

 


2人は顔を赤らめる。ハイロリ監修の元、嫁達の名前がついた専用ロリ桃・・・新たな品種であった。もはや彼女達のロリ桃と瓜二つなのである。ロリ桃を手の中で転がすハイロリを見てそうなってしまったのだ。

 


ロリ桃と自身のロリ桃を交互に食べさせる嫁達。ロリ桃はこの星でも嫁達の間で人気となるのであった・・・この後マイルームには激しい地鳴りが轟き響いていた。獣魔達はいつものことなので六花と外で遊んでいる。

 


翌朝転移塔の前にハイロリが現れると数人の来訪者が待っていた。

 


「ハイロリ待っていたぞっ!!さぁボスを倒しに行こうっ!!」

 


「アニキっ!!気合いれていきやしょうっ!!」

 


「・・・まぁ慌てるなお前達。オレはこう見えて慎重派なんだ。ボスエリア以外の場所に攻略の糸口が隠されているかもしれない・・・だからボスに行くのは1週間後にしよう。それにみんな連戦で疲れているだろう・・・強くなるためにはたまには休息をとることも重要だ。オレはその間1人でエリア内をくまなく捜索する予定だ」

 


「・・・ハイロリがまともなことを言っている。そんなにやる気があったのか・・・これなら勝てるぞっ!!言うことも一理ある・・・じゃあ決戦は1週間後ということで!」

 


「さすがアニキ・・・抜かりない・・・手伝えることがあったら言ってくださいっ!!」

 


「そうだな・・・唯との連携を見たいから後でジャンヌの部隊を借りたい。頼めるか?カポネ」

 


「構わないっすよっ!!ジャンヌもいいよな?」

 


「え、えぇ・・・いつにするの?」

 


「明日の朝あたりでどうだ?じっくりと確認したいから気合をいれてきてもらえると助かる」

 


「わ、わかったわ・・・(どう考えても水着よね・・・今日はみんな明日の準備で忙しくなってしまいそうね)」

 


「・・・(慶太さん・・・あの約束を忘れてなかったのね。それにうまい・・・目的を明かすことなくジャンヌ達を誘い出した・・・まぁご褒美なので先輩には内緒にしておいてあげますね。むしろバレたら私もやばい・・・)」

 


ハイロリの目的はただひとつ・・・ボスなどは正直どうでもいいのだ。すべてはこの水着を堪能するためにここまで頑張ってきた・・・ちゃんと事前に下見することを怠らないところを見ると慎重派というのもあながち間違いないであろう。

 


やっぱり邪魔が入るといけないからプライベートビーチだよなぁ・・・そうだあれも大量に買っておかないとな。ビーチ補正でいけるかもしれない・・・想像しただけでいいな。

 


とりあえず第3エリアにいったらまずはヌーディストビーチ・・・そしてお姉さん達を出迎えるためにプライベートビーチをレンタルして改造・・・金ならいくらでもあるしいけんだろ。最後に普通のビーチで水着の匂いを嗅ぐ予習もしないとな。潮風による匂いへの影響を調査する必要がある。

 


1日で足りるかわからないがやるしかない・・・明日のパラダイスのために。1万人クラスのお姉さんのコラボ・・・響きもぱないぜ・・・オレもきわきわの水着にするかもういっそのこと丸出しでいくか悩むところだな。

 


きわきわでいったところで・・・抜刀したら関係なくなるし丸出し水着風の丸出しでいこう。着ている体で実際は着ない・・・我ながら名案じゃねぇかっ!!さぁて早速第3の村へ行かないとな・・・時間は限られている。

 


変態の眷属はやはり変態でしかない・・・変質者は光に包まれ消えていった。