闇と光 第25話 部屋の改造

アリスは現在オレと会話しながら荷物を整理している。なぜ整理しているのか。それは・・・一緒に暮らすためだそうだ。オレとしてはそれぞれ違うところで暮らすイメージだった。だからささやかな抵抗はした。お仕えするわけなので一緒に暮らすのは当然。その言葉により抵抗はやめた。確かにと納得したからだ。反論の余地はない。

 


そしてご主人様と呼ばないこと。言葉遣いを普段通りのくだけた感じにしてくれとお願いした。尋問官の印象を良くするため・・・いや堅苦しいのが苦手なだけだよ?そう。そうなのだ。オレは敬語使われるのが苦手である。だからである。仕えるといっても彼女にはのびのびしてもらいたい。その意味合いも大きい。彼女を縛るつもりはオレにはない。

 


結果として、人前ではハイロリ様。2人きりの時は慶太様と呼ばれることになった。名前で呼ばれるのが好きだからな。完全なるオレの趣味である。言葉遣いは多少くだけた言い方にすることに成功した。後は、彼女自身からもっと自然な会話になってくれることを祈るとしよう。

 


「慶太様。待たせてすみません。準備終わりました」

 


「大丈夫。待ってないよ。荷物は1度置きにいくか?置きに行くなら先に部屋の方をいじるが・・・。どっちでも構わないよ」

 


「私ならこのままで大丈夫ですよ。工房へ先に行ってしまいましょう」

 


「ああ、それなら荷物をオレが持つよ。女の子にそんなものを持たせる趣味はないからね」

 


「いえ大丈夫です。慶太様に持たせるわけにはいきません」

 


「ああ・・・。ならオレが持つ。命令だ。これならいいか?」

 


「あ〜〜!!ずるいですよそれ。そ、それなら先に荷物を置きに行きましょう」

 


「はいはい。ならそうしようか」

 


結局、部屋の増築を先にすることになった。彼女はなかなかに頑固だった。くそ真面目。そう言った方がよいかもしれない。だが頑固さではオレも負けない。オレは1度決めたらこう。貫けぬ物など私にはない!と言えるくらい押し通る。そこでいい方法を見つけたのだ。命令。この単語を使えばアリスは忠実故に言うことを聞く。鬼畜外道な命令はしないよ?そうゆうのは相手の意思が伴わないと快感にならない。無理矢理とか気持ち良くないよ。それにアリスはオレの中で大切にしたい存在だからな。

 


オレ達2人は雑談しながら転移塔を目指した。アリスは話してみると明るく、仕草の可愛い女の子だった。歳は22歳。容姿は凛々しさのある整った美しい顔。ミディアムの銀髪。片方の耳が見えており、その分顔が強調されいっそう美しさが際立っていた。細身で貧乳。まさしくクールビューティ。さらに片目が見えないようでちらっと見える前髪がとても色っぽい。それでいて可愛い女の子とは。アリスもギャップの使い手か・・・。笑顔がまた可愛いらしい。

 


アリスに両親はいないらしい。大変だったな。道端で他の住人達と挨拶を交わしたりもしていた。なかなか人望もあるようだ。器量よし。性格よしの彼女。なのに彼氏は作ったことがないと言っていた。仕事より魅力的に感じる男がなかなかいないとのこと。いたとしても相手を知るうちにつまらなく感じるそうだ。こんな可愛い子を放っておくとは何事だ。それでも男なのかと住人に問いたい。この世界には、男、女、そして女2の3種類がいるようだ。

 


ん、女2ってなに?だって?オレのタイプじゃない女の子の総称だ。みんなは違うのだろうか。うん。みんな違ってみんないい。十人十色です。はい。

 


アリスと楽しく会話していると、転移塔にいつのまにか着いていた。楽しい時間ってあっという間だよね。アリスをマイルームに登録した。なんか登録すれば来訪者同士でも同じ部屋にもなれるんだって。まさかの恋人システム付き。みんないい出会いしろよな。そして改造しようとしたら大きな問題が発生した。

 


個人では、一室と庭エリアしかないということだ。オレはアリスと必然的に同室しなければならない。これは言い訳を今から練習しておく必要がありそうだ。ギルドホームを作れば改善できるようだが、ギルドは5名以上の来訪者がいないと作れないとのこと。

 


作れないもんは美貴も納得するよねきっと。そうだよねきっと。作れないもんはしょうがない。部屋を構築していく。庭を最大級に広げておいた。カスタマイズもできるらしい。現実世界でも犬を飼っていたのでなにか飼いたいなと思ったからだ。そしていよいよできた。オレ達2人は光に包まれた。

 


「わぁ〜〜。すごいですねぇ〜〜」

 


アリスの可愛い声が部屋に響いた。

 


ベッドは天蓋付きのキングサイズ。キッチンはカウンターバー式の広々とした設計に。大型冷蔵、冷凍庫。さらには酒類の貯蔵庫も備え付けた。それとは別に4人座れるテーブルも設置した。大きめのソファー、そして悪魔のアイテムこたつも配置した。日本人の心ですから。アリスがいるので、女優さんもびっくりの大きな鏡、照明付きのドレッサーも完備。アリスのオシャレのため収納用の家具もばっちりだ。それを美貴用にもう1セット。武具のための収納スペースも抜かりない。照明にも拘っており、壁にもある仕掛けがあるのだが、いつか使う日がくると信じよう。

 


庭はとりあえず美貴と最初に出会った庭園風に仕立てあげた。時間帯で見える景色が変わるため、星空を見上げながらのお茶も風情があっていいだろう。洗濯のための物干し竿、洗濯バサミ等もぬかりはない。加えて、プールも用意した。水着姿が見たいからな。

 


お風呂は大理石を一面に敷いてある。ジャグジー付きの泳げる大浴槽。美貴と一緒にお風呂に入る時、照れる可能性があるので泡風呂も1つ搭載しておいたぜ。さらに壁天井には景色を映し出せる特殊な壁を採用。綺麗な景色を映し、君の方が綺麗だよと美貴に言うためである。露天風呂もつけた。降雪システムも搭載している。雪の中での露天風呂もいいだろう。マッサージチェアもあるんだぜ。そして人2人が入れる謎のロッカーも取り付けた。だってそこにロマンがあるだろう?

 


足りない物は後々足していくとしよう。昨晩、ミキといた時から構想は考えていた。なかなか満足の行く仕上がりになっただろう。アデルソンの金だけど。食費はラルカスさんのとこで稼げばよい。生活基盤は整ってきたようだな。

 


ハイロリは豪華な部屋を手に入れた。