闇と光 第103話 1日彼氏

おはよう。今日も清々しい朝だね。昨日はみんな激しかった。公認とはいえなんだかんだ嫉妬してくれているようで嬉しかった。もう可愛過ぎるぞこの子達。

 


約束は9時からなのだが、彼氏ということなので気合を入れて1時間前から行動に移す。待ち合わせ場所が東エリアのカフェだったのでゆっくりと歩いて向かう。転移しないのって?デートに転移は無粋だよ。

 


とりあえずお茶を頼みながら待っている。コーヒーは嫌いではないのだがオレは好んで飲まない。あれはドーピングアイテムの一種だと思っている。彼氏になるので口臭ケアも兼ねている。こういうとこ大事ですよね。

 


二口ほど飲んだら誰かが入ってくる音がした。約束の時間にはまだ50分ほど早いので普通の客だと思っていた。ふと目をやる。そこにはいつもと違う格好のフーカがいた。オレ好みのセクシーなドレスを身に纏っていた。偶然にもオレも気合をいれてスーツ姿だったので2人並ぶとよく映える。超絶美人のフーカがお世辞抜きでさらに美しく可愛くなっていた。恋人補正も相まって絶世の美女である。

 


「・・・あれ?ハイロリもういたの?」

 


「あぁ。フーカに会いたくて待ちきれなくてな。つい早く来ちゃったよ」

 


嘘は言っていない。愛する彼女なので待ちきれないのは当然である。そしてオレは彼女に近寄っていき、そのまま抱き締める。突然のことに彼女は戸惑っていたが、御構いなしにオレは彼女の唇を奪う。会いたくてしょうがない相手だったんだ。当然だろ?今日オレは本気でフーカを愛しているんだ。顔が少し紅くなって照れている彼女は新鮮だった。可愛かったので頭を撫で撫でする。

 


「どこか行きたいところある?フーカと一緒に過ごせるならオレはどこでもいいよ」

 


丸投げするのはどうかと思うが、本当に一緒に過ごせるのならどこでもいいのだ。エスコートしてもよかったのだが、1日という短い時間しかない。だからフーカの過ごしたいように一緒にいたいと思った。

 


「えっ・・・あの・・・」

 


顔を赤らめながらもじもじしている。フーカが若返って純情な乙女のようになっている。まぁ見た目だけは若いのだが・・・というか歳だけ4桁なだけで普通に若い。これはこれでグッとくるものがあるな。雰囲気的にオレは察したので誘うとしよう。

 


「じゃあフーカの部屋に行きたいな」

 


「・・・うん!あたしも行きたいって思ってた!」

 


彼女は色っぽい笑顔を浮かべていた。ちゃんと正解を引けたようだ。さりげなくオレの体が欲しいかのように撫で回していた。どうやら本気で誘いたい時ははっきり言えない子らしい。こないだまでの君はどこに行った?あのノリでもオレは全然いいのに。

 


腕を組みながらオレに寄り掛かって歩いていく。道行く住人、そして来訪者達が様々な反応をしている。しかし恋人同士のオレ達には関係なかった。いつものような口調ではなくひとりの女として話し掛けてくるフーカ。ギャップにドキッとさせられてしまう。1日だけとはいえさすがオレの彼女だ。魅力に溢れている。

 


彼女の部屋があるという建物に着いた。一際目立っていた煌びやかな遊郭といったところか。お姉さん達が羨ましそうにオレ達を見ている。今日はデート中だ。また今度なと心で訴えかけながら2人だけの世界は継続中だ。

 


彼女の部屋は広々としていたが至ってシンプルなものだった。和室テイストのお部屋だ。畳とか懐かしい。そして艶かしい香りが漂っている。彼女の香水、彼女の匂いとは違う匂いだ。匂いのトリプルバーストを喰らってオレはどうにかなってしまいそうだ。

 


プレゼントがあったのでオレはここで渡そうと思う。2人きりの時にあげたいと思っていた。やっと2人きりになれたので行動に移そう。インベから桐箱を取り出す。

 


「2人の記念日だからプレゼントだ。喜んで貰えたら嬉しいな」

 


こんなものを用意していると思っていなかったのだろう。フーカは固まって驚いていた。絵に書いたような静止具合だなと思わず微笑んでしまった。

 


「ほら。せっかくだから見てみてよ」

 


動き出す気配がなかったので彼女の時間を動かしてあげることにした。恋人同士は助け合いなのだよ。サポートが必要な時は阿吽の呼吸でしてあげる。別に礼はいらない。したいからするだけだ。

 


桐箱を開封した彼女は手に取り眺めている。その目はキラキラと輝いている。無邪気な子供のような表情でありがとうと彼女は言ってくる。こんなに喜んでくれて彼氏冥利に尽きるな。

 


彼女への贈り物は二連かんざし。普通なら大と小のかんざしなのだが、今回は中と中にした。花びらを散りばめた黒い茎に見立てた数本のチェーンで繋がれている。蒼と紅の2本のかんざしはオレとフーカを表している。蝶が1羽、2人の間を行き来しているかのように1本のチェーンの真ん中あたりにいる。

 


彼女は纏めていた髪をばさっと解き放つ。彼女が巻き起こす風にのって飛んでくるその匂いがオレを虜にさせたのは言うまでもない。慣れた手つきでかんざしを使い髪を纏めていく彼女。片方に寄せうなじと耳を強調している。隠れていた耳からは隠れピアスが出現する。

 


「にししっ・・・どう?似合う?こういうの好きかなって思ったんだけ・・・ど・・・」

 


言葉を言い終える前に思わず抱きついてしまった。耳の後ろとうなじをオレの鼻が往復している。

 


だって・・・こういうの好きだったんだもの!いやぁ・・・チラリズムって大事ですよね。うんうん。

 


そのまま畳に押し倒してしまった。2人はすりくんタイムに突入だ。お互い無言のままお互いを解き放っていく。フーカお姉ちゃんはオレとしてはかなり大きめのH。たまにはありである。さらに生えていないようだった。そしてオレの闇のマナの色をしている。

 


「あはは。お互い使い込んでるようだね。あたしを満足させてね・・・ハイロリ・・・今日だけはあたしだけのものなんだから」

 


闇に染まりし者同士お互い急速に惹かれあっていく。もちろん今のオレはフーカだけのものだ。出来る限り愛を伝えてあげたいと思う。このままでは室内て1日を終えそうだけれどもな・・・。

 


君が望むならそれでいいぞ、フーカ。果てるまで愛し合おうじゃないか。