第93話 逃げる漢組

「小僧!やはりやりおるのぉ!」

 


「あぁ!そうゆうおっさんこそやっぱりやるな!」

 


「しかしそろそろカップラーメンが恋しくなってきたでな。帰るかの・・・丼飯とラーメンの黄金セットが儂らを待っとるぞ!」

 


「あぁ・・・そのセットはやべぇ。しゃあねーな・・・んじゃ今回も引き分けってことで。しかし中々簡単には帰れそうにない場所だなここは」

 


「儂とお主がいれば世界のすべての女を獲れるんじゃぞ?2人で力を合わせれば無敵なのじゃっ!」

 


「んじゃオレがしょうがないから脳筋師匠に合わせてやるよ」

 


「がははは。そこは儂が合わせてやるわい。バカ弟子の師匠なのだからな。では競い合い成長したあの技で空間を切り裂き転移するぞ!」

 


「ふん・・・たまには顔を立ててやるよ。じゃあオレこっちな。おっさんはあっちを頼む。いくぜ!」

 


「必殺っ!!」

 


「漢の極意っ!!」

 


「「漢気レーザー!!」」

 


「なんだあれは!?漢組の刀から何かが放たれている。遥か上空へと舞い上がる一筋の光と闇。いったい何をしているんだぁ!?

 


おや雨でも降っているのだろうか?いや違うこれは漢気レーザーの飛沫!!なぜかすべて女子達にだけ向かっていくぞぉぉぉ!!大量のマナのミストにより水も滴るいい女状態になっている。しかし女子達はみんな天国に昇ってしまいそうな表情をしている。いったいどうなってるんだぁぁぁ!?

 


女子達だけずるいよ!僕にもちょうだい!漢組っ!」

 


「儂からのサービスじゃよ。麗しのお嬢さん」

「オレからの熱いサービスだ。愛しのお姉さん」

 


「「「「「あぁ・・・懐かしいマナ・・・」」」」」

 


「おっほぉ!!!これがハイロリのマナか!!あたしも仲間にいれとくれっ!!」

 


「「「「「ダメです!!」」」」」

 


「そんな皆で言わなくてもいいじゃん・・・お姉ちゃんは悲しい・・・」

 


「2人はなにやら決め台詞を決めていくぅぅぅ!女子達が漢組に魅了されている。おっと彼らの姿が光や闇に包まれていくぞ。彼らは行ってしまったようだ。何も盗んでいないかのように見える・・・だが彼らはある物をしっかり盗んでいった。

 


そう・・・君達の心だ。

 


舞台には呆然とした男達が8人立っている。てかそろそろ戦わないと僕も・・・怒るよ?僕だって攻めに回る時もあることを教えてあげようか?」

 


「「「「「デキウス(様)!!」」」」」

 


「おやぁ?欲しがりな子達がいるようだね。僕からのサービスだ。好きなだけアンコールしておいで」

 


会場の片隅にいる男女が光に包まれ消えていく。果たして彼女達は逃げるハイロリを捕まえることはできるのだろうか。

 


「おっさん・・・ここはどこだ?」

 


「うーむ・・・デキウスのやつどうやら儂らを逃す気はないらしいの。しかしなんとしてでも脱出するぞ小僧!

 


むっ・・・どうやら追手がきたようじゃな。お主が前につけとった女の匂いがするぞ。それにあやつらか・・・懐かしいのぉ」

 


漢組の後ろにはいくつかの光が現れていく。ハイロリは現れた者達をゆっくりと一瞥する。

 


「・・・おっさん行くぞ」

 


「うむ。抜かるなよ小僧!」

 


彼らはすぐさま駆け抜けていった。

 


「ご主人様の好き好きオーラが出てましたね」

 


「「「「「えっ!?」」」」」

 


「ご主人様って素直に見えますけど素直じゃない時も結構あるんですよねぇ。今のがまさにそれです。うふふ・・・可愛いですよねぇ。愛でたくなっちゃいます」

 


「「「「「・・・完敗してる気がする」」」」」

 


「そして・・・素直じゃない時は強引に行くとご主人様は喜ぶんですよっ!!無理矢理捕まえます!!覚悟してくださいね?ご主人様」

 


アリスの雰囲気が変わっていく。この雰囲気を私達は知っている・・・覚醒アリスだ。

 


「影っ!」

 


「「「「「こちらに」」」」」

 


「ご主人様を追跡して下さい。出来るならば進路を絞って下さい。ですが最優先は見失わないことです」

 


「「「「「はっ!」」」」」

 


「おいでなさいっ!!ピヨ吉!ピヨ子!サリー!」

 


「「「マスターご命令を」」」

 


「ご主人様を拘束しますっ!殺す気でお行きなさい!・・・ひよったらわかってますね?」

 


「「「御意っ!!」」」

 


「アリス・・・お姉ちゃんはそれ苦手なのに・・・あーあ・・・ハイロリのやつ死んだな・・・」

 


「「「いつのまにこんなに手懐けてたの・・・」」」

 


「ふはははっ!・・・懐かしいな。まるでアステラを見ているようだ」

 


「そうだねぇ。さすが血を引いていることだけあるねぇ。アステラの背中が見えるようだよ」

 


「くっくっくっ・・・強者の匂いがする。どちらも相手にとって不足なし・・・オレもいくぞっ!!待ちやがれっ!!」

 


「あーあ・・・リヒテルが狂っちまった。でお前らはどうするんだい?アリスは行ってしまったよ?ハイロリとお前らはずっと仲が良いとは聞いていた。喧嘩したことがないってもね。たまには思いっきり喧嘩してきたらどうだい?時には喧嘩も必要だよ・・・って余計なお世話だったかね」

 


「慶太には帰ったらがっつりお仕置きだね」

 


「ハイロリ様には私が200敗目をプレゼントしてあげる。剣術で私に勝てないことを思い出させてあげるわ」

 


「ボクとの大事な約束を破ったこと・・・謝ってもらわないとね?あははっ!ダーリンならきっといい音出してくれるよね?」

 


「家出したカラスさん捕まえて保護する。そして私がお世話する。あはっ!待っててねカラスさん」

 


「キングよ。私と体で語り合おう。手加減は必要ないよなっ!でも・・・夜は手加減して欲しいな・・・」

 


「座標確認したわよ。私相手に逃げれると思わないでもらいたいわねマイベイビー。恋する乙女達を甘く見たら痛い目見ちゃうわよ。あとでたっぷり・・・ご褒美もらわないと割に合わないわねぇ?うふっ・・・今夜は寝かせてあ・げ・な・い」

 


6人は一斉に走り出した。

 


「んじゃ私達もいくか。ボコボコにしてやるぞハイロリ。日頃の怨みを晴らしてくれようぞっ!」

 


「お望み通り相手してあげるよハイロリ君。僕らと闘いたがるなんて物好きだよねぇ」

 


「そうだ・・・こっそりハイロリを誘拐して・・・あんなことやこんなこと・・・むふふ・・・バレなきゃ大丈夫よねぇ」

 


アデルソンとラルカスも走り出す。フーカは顔を紅らめながら何やらくねくねしている。

 


追われる漢組。彼らは追跡者から逃げ切ることはできるのであろうか。ハイロリの盛大な勘違いによる家出。彼はそのことに未だ気づいてすらいない。ハイロリと女達による闘いが始まった。