闇と光 第77話 5英雄
「さて私が話そう。アリスに子供ができた時に話すつもりだったんだ。アリスの両親の話をな・・・」
アデルソンが話し始めた。なんで悪人なの?という突っ込みは今回流石に辞めた。そこまで空気読めない男ではない。
数千年前の出来事だ。この惑星は元々住人達のものではなかった。デキウス率いる軍隊。それがこの惑星の住人達。なぜ侵略を開始したかというと、元の惑星が巨大な敵に攻め込まれ占領されてしまったからだ。新たに住む場所を得るためにここにきたそうだ。
やはりここは現実で間違いないらしい。もうそれじゃないと説明がつかない。となるとデキウスはなんだ?神と名乗っているから本当に神?いや変態ということにしておこう。とりあえず・・・うん。というか年齢合わないけどどうなってるの?あとで聞こう。
この星には先に統治している者がいた。その者と戦争になる。順調に侵略していたかに思えたがある者の出現によって戦局は膠着状態。むしろ劣勢と言えた。ある者はこの惑星の王。名は清十郎。ん?あのおっさんじゃねぇかよおい。本物の魔王だったわ。
デキウスの軍には5英雄と呼ばれる者がいた。アデルソン。ラルカス。リヒテル。フーカ。そしてアステラ。アステラがアリスの母だ。5人の活躍により清十郎と互角に渡り合えた。
アステラがアリスを身籠もる。アステラはそれでも戦っていた。アステラのお腹が大きくなるにつれて戦いに参加できなくなり戦況は悪くなる一方だった。アリスが産まれる1ヶ月前それは起こった。
元の惑星を侵略した巨大な敵がこちらにも攻めてきたのだ。清十郎とデキウスは同盟を組みそれと対峙する。巨大な敵の前に戦局はどんどん劣勢に追い込まれていく。
清十郎とアステラを除いた5英雄が敵のボスに対して決死の突貫作戦を試みた。しかし作戦遂行中、味方もどんどん攻め込まれていく。
決死の突貫作戦は成功した。多大な犠牲を伴いながら。アリスの父もまたこの作戦に参加していた。しかしアリスの父は命を落とすことになる。
味方の元へ急いで戻る5英雄達。幸い味方の犠牲者は少なかった。アステラが味方を守るために奮戦していたのだ。アステラの使役する獣魔は1体を除きすべて消滅していたという。
アステラは胸に敵の攻撃が当たり瀕死の状態になっていた。残った獣魔が懸命にアステラの命を繋いでいる状態。アステラは仲間に言った。この子を頼むと。名前はアリス。父と自分の名前から取った名前。
その獣魔はアリスが無事にとられるのを確認し、アステラの獣魔達の魂を集め、それを持ってどこかに消えていった。そういう話だった。
オレは質問した。年齢はどうなっていると。アリスはずっと0歳のままだったという衝撃の事実が発覚した。デキウスの手によって住人達の時が止められていたらしい。しかし再び時を動かすことになる。
来訪者を受け入れるためだ。この計画は少し前から進んでいたようだ。来訪者を受け入れると同時にこの世界は5倍速の時の流れをいくことになる。時が動き始めたのは25年前。今こっちの世界で3年。ということは現実世界でいうと1998年くらいか。そんな前から計画があったとは驚きだな。
ちなみに幹部クラスは未だに時が止まっている。だから来訪者の年齢を任意で止めれるわけか。デキウスさんできる。何者なのか。変態だあいつは。
残った獣魔に関して嫌な予感がしたので聞いてみた。するとカメレオンと言っていた。山の主とも。やっぱりあいつだ。オレが主から卵を貰ったと言ったら驚いていた。アリスのマナをオレに感じたからだろうという答えだった。先日卵から孵したことを伝えるとさらに驚かれた。あ、サリー放置してたわ。これはまずい。飛べるようになったかなそろそろ。
アリスからも質問が出る。内容は聞かなくてもわかっている。オレからは敢えて聞かなかった。するとリヒテル様が話し出した。
アリスの父の名はリオン。リヒテル様の弟だった。当時の作戦中・・・リヒテル様を庇い攻撃を受ける。その命と引き換えにリヒテル様が敵の幹部の1人を撃破する。リヒテル様はアリスに謝っていた。自分のせいで弟をアリスの父を死なせてしまったと。
アリスはリヒテルおじさんなんですね。ぜひ子供を抱っこしてくださいと言っていた。リヒテル様は泣いていた。数千年間ずっと後悔していたことなのだろう。オレも貰い泣きしたのは内緒だ。わかるよ・・・ずっと後悔するのは辛いからな。数千年。時が止まっているから永遠の苦しみ。どれだけ痛いのだろうか。
アリスは言った。
「私は大丈夫です。私にはおじさんやおじいちゃんおばあちゃん「お姉ちゃん」・・・おじいちゃんお姉ちゃんそしてご主人様がいますから。それにお母さんの獣魔も受け継いでいます。サリーちゃんがいます。皆さんいっぱいこの子を抱っこしてくださいね」
ばばあの圧力で話を折られかけたが何事もなかったかのように言い直すアリス。さすがだ。アリスと愛を誓えることを感謝する。リオンパパ。アステラママ。オレがきっとアリスを幸せにする。ヌッシーにもいつか見せてあげたいな。
「ところでその魔王今なにしてるの?」
「たまに遊びにきてるそうだ」
「オレ半年前から清十郎というおっさんの弟子になって毎日ボコられてるんだけど?あっ・・・今日サボった。まぁいっか」
オレが毛が3本と言うとさらに驚かれた。おっさんは昔からオバケだったらしい。しかしあの化け物とやれる4人か。相当強いな。いつかバトろうぜ。ああそうだった。今日これからバトルあるんだった・・・完全に忘れてた。
「アデルソン。玉座みたいなのないか?悪人の王様なら持ってるだろ?」
「ハイロリ。極悪人の帝王だよ」
「そうだね。お姉ちゃん僕もそう思うよ」
「もうよい・・・私は諦めた。あるにはあるが何に使うんだ?」
「今日来訪者との祭りがあってな。お祭りらしく登場演出に使おうかなって。オレも極悪人の帝王になってくる予定だから」
「じゃ私は極悪人の女帝になりますね。ご主人様」
4人に仲が良いと笑われた。玉座もゲットしたしわからせてやろう。オレの妻達をバカにした罪がどれだけ重いことか。オバケ大魔王の弟子の小魔王ハイロリが教えてやる。