闇と光 第129話 新たなる王
「いやぁぁぁぁっ!もうこないでぇぇぇ!!あぁ・・・もうっ!!ブチ殺すッ!!」
「あるじ!いつ終わるのこれっ!?」
「あ、あるじ様には指1本触れさせませんわよっ!」
「・・・殺戮って気持ちいい」
「はぁ・・・だから言っただろう」
今オレ達は大量のゴブリン達に囲まれている。こうなった原因は簡単だ。
オレ達は第2の街についた。作戦会議をしようとオレが持ちかけた時である。
「ってかさホントにそんなにでるの?こっちもこれだけいるしなんとかなるんじゃない?」
「あるじ任せろぉぉ!」
「あるじ様!ワタシ達がいれば楽勝ですわ!」
「いっぱい倒す・・・ワクワク」
トカゲって尻尾振るんだね。どうやったらそんな風になるの?うん・・・君達あの群れを舐めてる。まず絶望感の共有から始めようか。
そしてオレ達は前回のように突き進んだ。その結果がこれである。トカゲさんが深淵なるダークサイドに堕ちてしまったようだが気にしない。サリーは黒っぽいトカゲに変異していた。どうやら進化してしまったようだ。
上空では吉子率いる鳥軍団とゴブリン空軍部隊。地上ではハイロリ・美貴タッグとゴブリン陸軍部隊。大決戦がそれぞれ行われている。サリーはなんか遠くの方で1人無双していた。あの多種多様なブレス攻撃いいよな。ゴミのようにゴブリン達が消されている。でもどんどん突っ込んでくるから減っている気にはなれない。
まぁそれもそのはずである。前回見たデータから敵軍のおおよその数は把握してある。
1小隊10万構成に100小隊。
中隊は50中隊。
大隊が10大隊。
それが陸海空の3部隊。
50億×3=150億・・・たぶんキングにも兵隊がいるのだろうから200億くらいって考えておけばいいのかな?それならお釣りがくると信じたい。
ちなみにゴブリン国民はざっと4倍くらいいたのでこの星の総ゴブ口は1000億といったところかな?
そして前回同様ゴブ信に最初に遭遇したため、どうやらこのエリアは死んだらニューゲームになるらしい。かの有名な死に戻りを体感することになるとは思ってもみなかったぜ。
ちなみにオレ以外も命唱は使うことができた。制限回数は同じである。ただ絶理命唱はオレ以外使えないのでみんな3回ずつになってしまっている。
一応ゴブ信に口で名乗って見たがダメだった。やはり命唱を唱えないと怒られる。前回同様50メートルの距離に入るとムービーが発生した。迂闊に敵将に近づいてしまうと強制命唱イベントが起きる。命唱制限なかったらぬるゲーとも言えるくらい簡単なエリアになっていただろうに・・・。
そして敵を斬り刻んでいると状況に変化が起こった。大隊長を名乗るゴブリン達が襲いかかってきたのである。そいつらの強さは命唱なしの獣魔達と互角であった。美貴は普通に優勢に闘っている。さすがオレの嫁だ。オレ?甘く見ないでくれ。大隊長如き・・・瞬殺できるのだよ。
大隊長をオレが片付け終わると各軍の10将と呼ばれるゴブリンが現れてきた。連段状態の3匹と互角の強さ。複数に囲われると劣勢に追い込まれている。仕方なく多乗命唱を使い3匹は撃退していた。
美貴さんは命唱なしだと押されているが、連段状態で圧勝していた。オレ?オレはまだ瞬殺できるよ。オレを見るとゴブリン達は化け物がきたぞと言って慌てふためくようになっていた。士気なる要素があるのかもしれない。
だんだん日が沈んできた。突然体が動かなくなる。またやってきましたムービータイム。
ここはゴブリンキングのおわすあのお城じゃないか・・・赤いゴブリンがキングに向かって歩いている。えっ・・・!?
赤いゴブリンがキングを大剣で斬り殺す映像が流れている。
「我こそはゴブ布(ふ)っ!!新たなキングであるっ!!我に付き従えっ!!」
ゴブ布の体をばちばちと小さな稲妻が走っている。
謀反とかあんのかいっ!?なんで星の歴史が動くところ見せられてんだよ・・・。しかもあいつのマナが強化されやがった。肆の理状態のオレよりも少しだけ上回っている。なにこの強化イベント・・・。
っ・・・なんだとっ!?周りのゴブリンのマナも増大しやがった。全体強化とかバカなの?クソゲーをさらにクソにしてどうすんだよもう・・・。
吉子達が崩れ始めている・・・まずいな。美貴ですらやられはしないが苦戦を強いられている。ここはオレがやるしかねぇ!!
・・・ってぇな!
ハイロリが吹き飛ばされる。ばちばちとしている体のゴブリンが現れる。
「我こそはゴブ飛(ひ)。陸軍3大将である。好き勝手やってくれたな・・・小童がっ!」
拾連段だよ!この野郎っ!!
この状態なら勝てる。1分もあれば終わるか?・・・っ・・・んだよ!?今度はっ!?
「我こそはゴブ超(ちょう)。陸軍3大将である。助けにきたぞ!ゴブ飛!」
「我こそはゴブ雲(うん)。陸軍3大将です。お助けしますよっ!」
さらに増えやがっただと・・・なかなかの連携力・・・この状態のオレと互角とはやりやがるな・・・。あん?3回目は流石に避けるっつーの・・・オレだってただのバカじゃねぇ!今度は誰だっ!?
「我こそはゴブ正(せい)。陸軍提督なり。葬り去ってあげましょう」
こいつらの階級どこまであんだよ・・・。4対1か。上等だ。漢には引けない闘いがあるんだよっ!
「なかなかやりますね。では総督に登場していただきましょう」
光とともに新たなゴブリンが転移してくる。
「我こそはゴブ備(び)。陸軍総督である。終わりだ侵入者よ」
くっ・・・やべぇ・・・総督がきたらこいつら更に命唱重ねてきやがった。どうやら陸軍コンボが発動してしまったようだ。ならこっちは拾乗で行かせてもらおうか。てめぇら陸軍を滅ぼしてやんぜっ!!
「ほらほらっ!!さっきまでの威勢はどうしたぁ!?そんなんじゃやられちまうぞ陸軍さんよぉ!?」
空から5匹のゴブリンが降りてくる。体は全員ばちばちのスパーキング状態となっている。
空軍3大将
ゴブ寧(ねい)
ゴブ史慈(しじ)
ゴブ策(さく)
空軍提督
ゴブ瑜(ゆ)
空軍総督
ゴブ堅(けん)
それぞれが名乗りを上げていた。あぁだいたいわかってきたよ。名前的にな・・・。総督で最後なんだろう?権じゃなくて堅なのな?まぁいい・・・10対1?まとめてかかってこいや。
やってやんよぉぉぉぉ!捌界で散れぃ・・・っ!
ハイロリの体はまたもや吹き飛ばされる。
オレはどうやらただのバカだったみたいだ・・・もう見なくてもわかるさ・・・何が起きたかくらいな。海軍がなんで陸に上がってるんだよ・・・。
海軍3大将
ゴブ楮(ちょ)
ゴブ韋(い)
ゴブ遼(りょう)
海軍提督
ゴブ嘉(か)
海軍総督
ゴブ操(そう)
だいたいわかってはいた・・・君達のとこ階級争い絶対激しいでしょ?陸海空のコンボだとでも言う気なのかよ・・・多界命唱まで発展しやがった・・・。
あぁ・・・鬱陶しい。とどめを刺そうとすると絶妙にオレの攻撃をカットしてきやがる。なんでお前らそんな連携とれてるんだよ。しかも海軍だけ異常に強い。化け物国の名は伊達じゃないな・・・。
時間切れか・・・ならば絶理しかあるまい。これはもはや意地のぶつかり合いだ。この戦・・・オレの負けでいい。でもこの闘いは勝たせてもらおう。さぁオレと君達の決着をつけようではないか。
肆の理!!
いくっぜ・・・おいその光はなんだ。頭逝ってんじゃないのかデキウス。あっ、赤い妖精さんこんちわっす。
「余はゴブ布。余が皇帝である。帝の御前だ。頭が高いぞ?」
ゴブ布がハイロリの頭上から攻撃を仕掛けている。バトルフィールドが展開されてゆく。風が吹き荒れゴブリン達が次々に飲み込まれ消滅していっている。
ゴブ布の攻撃が当たるが、ハイロリの体は闇となり消える。ハイロリハンドがゴブ布に襲いかかる。しかし漆黒の手は将達によってすべて斬り裂かれている。
・・・ゴブ布皇帝の登場により将達のマナが前王レベルまで上がっているな・・・それにこの中でも普通に動いていやがる・・・邪魔だな。使えるか知らないがハイロリファントムの出番だな!この状況・・・ゴブ布一点狙いしかない。
くらいやがれ皇帝っ!
しかしハイロリの攻撃は届くことはなかった。ハイロリファントムは成功していた。だが転移されると同時に他の将達がハイロリに攻撃を当てている。ハイロリは吹き飛ばされる。
厄介な・・・でもいいことを知った。制限時間内であれば掛け直しはオッケーってことか。結局ハイロリファントムに頼るしかないわけか。ゴブ布くらえやぁぁぁぁっ!
またもやハイロリの転移と同時に体に攻撃が当てられる。
・・・こいつらたまたまじゃない。15人が別々の場所を攻撃している。モグラ叩き状態か。飛んで火に入る変態ロリってところか。罠で牽制したけど意味がないようだな・・・ダメージを気にせず王を守りにいっている。・・・こいつらを集めてはいけないってことだな。
・・・時間切れ。リターンピヨ吉、ピヨ子、サリー、ナビ。せめて被害が及ばないように帰すことしかできないな・・・星には多大な被害が出たけど、戻るから別にいいでしょ。
ハイロリは15人のゴブリンにより串刺しにされた。皇帝は最初の攻撃からその場所を一歩足りとも動いていなかった。えぐり取られた星の上に無言で佇んでいる。
仲間達と絶望感が共有された。
ハイロリは仲間以上に絶望感が強化された。