闇と光 第23話 アリスの処遇

いやぁ・・・怖かったですね。並大抵の殺気じゃなかったよ。思わずオレもアデルソンも謝ってしまったよ。ところでアデルソン君?あなたあのお方の雇い主じゃないの?主従逆転してるな。オレをバカにするからだ。ざまあみろ。

 


「すまない。リヒテル。私としたことが・・・。こいつがいると調子が狂うな」

 


「その割には楽しんでらっしゃいましたが?アデルソン様」

 


おお!我らが英雄の名前が判明したぞ。リヒテル様だ。

 


「そうだぞアデルソン。ぐだぐだ言ってないでなんとかしろ」

 


長い物に巻かれろって言いますし、リヒテル様についていきます。決してめんどくさくなってきたわけではない。早く散歩に行きたいなんてこれっぽっちも思ってないよ?

 


「ハイロリよ。自分は関係のないような雰囲気を出すな。・・・まぁよい。

・・・そうだ!!名案を思いついたぞ」

 


アデルソン悪かった。ゴミって言って悪かった。さすがドン!!よっ北門の覇者!!やる時はやるじゃないか!!

 


「もったいぶらないで早く言えよ。レディーは待たせるもんじゃないぞ。さっきから可愛いか・・・、キョトンとした顔してるじゃないか!!」

 


心の声が漏れかけてしまったZE・・・。漏れてないよ?言い直したらセーフだよ?気づかないフリするのが大人の対応だよね?社会人としての常識よ。

 


「はぁ〜〜・・・。お前は多重人格なのかってくらいギャップが激しすぎだろ・・・。そもそもその可愛いレディーとやらをいたぶったのがお前だというのに。ハイロリ。お前はアリスが自由の身になれば文句はないのだな?」

 


「あいにくギャップがチャームポイントです。オレは大人だからもうそれには触れてやらないぞ。だからチップとして全部彼女にやるから自由の身にしろってさっきから言っている」

 


アデルソンは大人じゃないなぁ。でも必殺奥義がオレにはある。

 


必殺!!気づかれても気づかれていないフリをする!!

 


はい。飽きたわけじゃないよ。あ〜〜早く装備頼みに行きたい・・・。散歩の時間がなくなるじゃないかまったく。

 


「もう一度聞くぞ?アリスが自由の身になればお前は文句はないんだな?」

 


「さっきから何度も言ってるだろう。それならばオレからは一切文句はない!!」

 


何回もめんどくさいなこいつ。予定がつっかえてるんだ。早くしろよ。

 


アデルソンは笑みを浮かべながら言った。

 


「ならばアリスを遊郭に売り渡す。そしてそれをお前が身請けしろ!それで自由の身だ」

 


「ちょっとま「男に二言はないだろう?ハイロリよ。文句はないと言ったのはお前だぞ」・・・」

 


オレの静止の声もアデルソンによって遮られた。やられた・・・。前言撤回だ。やっぱりこいつはゴミだ。いやそうゆうんじゃなくてですね・・・。巻き込むなよ・・・。ホントに。なにこいつ。アデルソンのばか、ばーか。

 


「ありがとうございますっ!!精一杯仕えさせていただきますのでハイロリ様よろしくお願いします!」

 


ア、ア、アリスさん?なんでその気になってるの?仕えるってなに?しかし、これはまずい・・・。

 


「いや・・・待て・・・。男に二言はない。確かに・・・、そう二言はない。だが・・・身請けというのは色々と問題が・・・」

 


「私ではダメ・・・ですか?なんでもしますので私をどうか身請けしてください!!」

 


そんな涙目で言わないでくれ。いやダメじゃないんです。全然ウェルカムなんです。むしろ願ったり叶ったりのおいしい話なんだ。だが、しかしオレには美貴がいる・・・。もしだ、もしミキがオレのことを好きだとしたら・・・。1%もない?いやミリチャンはある。0%と100%以外は全部同じなんだよ?美貴が悲しんでしまったらオレは耐えられない。それがかなり大きい。そしてだ!美貴がキレてしまった場合、オレは再びあの背後の恐ろしいものを見ることになる。それは断じて避けねばならない。

 


「・・・そうですよね。私なんかじゃダメですよね・・・」

 


そんなガッカリしないで!アリスさん!そしてなにニヤニヤ見てんだ!アデルソン!!いつかボコボコにしてやる!覚えとけ!ダメじゃないんです。アリスさん・・・。でも美貴様が・・・。

 


ん〜〜・・・。知らん。もう知らん。あぁ知らね。困った時は思考放棄。なんとかなるさ。

 


「はぁ・・・わかったよ。だが身請けはダメだ。こちらにはとても・・・そう深淵よりもはるかーーに深い事情がある。アデルソン、奴隷紋ってデザインは1つなのか?」

 


「奴隷って・・・お前外道だな。あまり使うことはないがデザインは変更できるぞ?」

 


「誰が外道だ。話は最後まで聞けよ。早漏野郎。

 


ならばこうしよう。可愛いデザインのタトゥーを効果のない奴隷紋とする。ここにいるのは幸い4人。みんな黙っていればそれでアデルソンも体裁がつくのだろう?ひとつだけ問題はある。この場にタトゥーを入れられる者がいるかどうかだ。それさえ解決できればいいのだが・・・」

 


「ほう・・・。ぐだぐだ言ってた割にはいいじゃないか。しっかしなんだお前そんなこともできないのか。私やリヒテルなら朝飯前だぞ?マナの力を使えば簡単だろうに。それでよいぞ。なぁ?リヒテルよ」

 


え?そんな簡単なの?あれもしかしてスキルとかいらない子なの?ひょっとして、バイトしてた時生えたあれで全部いけたりすんのか・・・。

 


あぁちくしょう。あいつらのステ見れない。アデルソンもリヒテル様側の人間か。あぁ弱い子ってばれちゃった。今はだからなっ!!今は!!まぁあとで考えましょうか。

 


「ならそれで行こう。アリスちゃんはどんな紋章がいい?」

 


押し付けてはいけないのだよ。彼女が可愛いと思うものでなくては。思いつかなかったわけではないからね?

 


「ありがとうございます!!ハイロリ様!!

そうですね・・・。スミレの紋章がいいです。左胸の上あたりにいれていただければありがたいです」

 


スミレって可愛いね。さすがアリスちゃん。オレは最初からスミレだと思ったよ?一応聞いただけだよ。胸の上とかエロい。いや隠れるしいいチョイスですね。

 


「なら早速やってもらおう。アデルソンお前はダメだな。なにするかわからない悪人面だからな。ここはリヒテルさんにお願いしたいが構わないか?」

 


「ええ、構いませんよ?どのような感じがいいですか?アリス」

 


そう言うと、リヒテルさんはアリスちゃんと紋章のデザインについて話し合っていた。

 


「ハイロリ!!悪人面ってなんだ!!結構気にしてるんだぞ!!」

 


「あん?悪人なんだから似合ってていいだろうが」

 


「貴様・・・よくもぬけぬけと。お前なんか外道で悪人中の悪人じゃないか!!」

 


「うるせぇな!泣く子も黙るドンのくせに」

 


三度、低レベルの争いがここに始まった。