闇と光 第114話 エキシビジョンマッチ
あぁ・・・絶理命唱が難しすぎる・・・。ひたすら修行をしていたけど未だにマスターできたとは言い難い。時間をかければ唱えられるけどそれではあの技には組み込めない。ちなみに参の理までが実戦で使用できる限界である。そして体への負荷が凄まじい。使った後は筋肉痛になってしまった。いや筋肉痛ならぬ絶理痛かな・・・。
おかげで筋肉が破壊と再生を繰り返し、硬くなってきてしまった。柔らかい肉の方が良かったのに・・・。気合を入れれば肆の理までは行けそうだけど、時間がかかり過ぎて話にならない。
ただ絶理痛している時の共鳴作業は新鮮でハマってしまいそうになった。体が痛みで動かないので嫁達に好き放題されてしまう。もちろん痛くないようにはしてくれるのだが、たまにはされるがままというのも悪くない。新たな1ページがオレの中に刻まれてしまった。あれはあれで癖になる・・・。今度は体が動く時にやってもらいたいと思う。
そろそろ第5回支部別対抗戦の時期になる。もうすぐ会える。カーチャ、チャーリー、レナと会える1年に一度の期間である。気分は彦星だ。六花も紹介しないとなぁ。3人とも甘えん坊だからな・・・いっぱい甘えてもらえたら嬉しい。そしていっぱい愛でたい。
他の支部は第7エリアに到達したらしいのだが、まったく進めなくなってしまったらしい。コロシアムの全部門制覇がクリア条件らしい。あぁ・・・化け物達と闘うのね。オレの嫁をいじめたら許さないからな。
一方日本支部は第3エリアのボス戦に未だに手こずっている。アサ吉やカポネから再三の参戦要請がきたのだが、あいにくオレはリュカウスを突破できない。第1エリアで激闘の毎日である。アサ吉のやつは何言ってんの?みたいな顔をする。リュカウスの強さを見てから言えよと言いたい。
デキウスから取引を持ちかけられたので最終日にエキシビジョンマッチとして闘り合うことが決まっているんだけどね。こちらがもらうものはアリスとアヤネそして六花の時を止めれる権利。しかも自身で自由に止まる歳を決めてよいといういい条件だ。
みんな時が止まって彼女達だけ歳をとってしまったらどんどん年齢が離れてしまうからな。年上の彼女達もまた堪らないが本人の意思を尊重したいと思う。
あとついでにハイロリソード用の素材ももらえる。未だに1本しかない。ヴェルンドに作ってもらったのだがオレのマナに耐え切れず、すぐに壊れてしまった。思ったより強くなれている気がする。でも慢心してはいけない。オレはまだまだ弱い。まさに最弱の王と呼ぶに相応しいな。
日程中はひたすらイチャコラした。3人にもオレの決意を示したところ喜んで賛同してくれた。チャーリーやレナは部下にも話し、すぐに仲間になってくれた。元々似た目的を持っていたようだ。物騒な連中だよなまったく・・・。
カーチャは実は異世界からの帰還者であることが発覚する。異世界転移って本当にあったのな・・・まぁ想像できるものはすべて存在する可能性がある。ただ異世界の力は使えなくなっていた。こちらの世界のマナとは異なる源だったらしい。ソウルというものが力の源だったようだ。この世界にはないということは別次元の宇宙という可能性もあるな・・・とオレは1人で胸を高鳴らせていた。
約束の最終日になったのでオレは嫁達を連れ会場へ向かった。理由は話していない。どれほど自分とリュカウスが強いかはわからない。でも出せる限りの全力で闘いたいと思う。そんな姿を見てますます好きになってくれたら嬉しいな。
「すべての日程が終了したね。でも今回はもうひとつ試合を用意している。試合時間は1時間だ。制限を設けないと終わりそうにないからね。あははっ。
対戦カードは今この世界の中で最も熱い闘いをしている2人だ。みんながコロシアムで手こずっているのは僕もよく知っている。これから見せる闘いは本物同士の死闘だ。攻略の参考にでもしてくれたまえ。それでは入場していただこう。
火属性のマナの使い手・・・日本支部第1エリアのボスに君臨している男・・・人狼の王・・・彼はそう呼ばれている・・・
リュカウス選手の入場だぁぁぁ!!」
巨大な蒼い炎が天より舞台に降り注ぐ。歓声が巻き起こっている。獣人の登場に歓喜している者達もいる。
リュカウスめ・・・こっちを見てやがるな。王というだけあって目立ちたがりのようだな。そして嫁達やアサ吉、カポネなど周りの者達がオレを見ているな・・・。デキウスが日本支部って言ったからバレたじゃないか・・・。ここはあの必殺技を発動するしかない。
「最も熱い闘いだってさ!誰が相手なんだろうなぁ!楽しみだねぇ」
気づかれていないフリをするという必殺奥義だ。
「兄上!姉上!楽しみですのっ!」
「あるじっ!あの獣の人強い・・・!」
「見逃せませんわねっ!」
サリーに吉子・・・いい奴だな・・・素直な君達をオレは愛してるぜ。そして六花をいつもありがとう。
「・・・その棒読み・・・わかりやすいわね慶太・・・」
「ふふっ・・・ご主人様のいいとこですよ」
嫁達は思い通りになってくれないらしい・・・さすがだな。アサ吉がじっと見ている。・・・ったくしょうがないなぁ。
「アサ吉よく見とけ。オレが遊んでいたかどうかを見せてやる」
「・・・!」
アーサーの目の色が変わる。オレの言葉により、カポネ組や配下の仲間達はお祭り騒ぎ状態となっている。
ボスとかアニキとかいう声援が飛んでいるがオレはなった覚えがない・・・。中には黄色い声援も混じっている。チャーリーの部下って女の子多いよなぁ。女の子も惚れるその魅力は残念ながらすべてオレのものなんだぜ。
「対するは闇属性のマナの使い手・・・記憶にまだ新しいことであろう・・・日本支部をたった1人で全滅させた男・・・黒い悪魔・・・彼はそう呼ばれている・・・
ハイロリ選手の入場だぁぁぁ!」
辺りが漆黒の闇に包まれる。視界もすべて闇に覆われる。闇が急速に舞台に収束していく。急に周りが明るくなったので闇が光を放っていると錯覚させられる。こちらもまた大歓声が上がる。
「くくく・・・派手好きめ」
「お返しだリュカウス」
「さて・・・いつも制限をかけているが今日はお祭りだ。僕が結界を張っておいた。今日だけは全力で闘ってもいいよ。本気で闘えなくてストレス溜まってたんじゃない?溜めすぎは体に悪いよ?あははっ」
リュカウスと2人で命唱重ね合戦をしようとした時デキウスに止められていたのだ。捌連段までにしてくれと。神だったらなんとかしろよと言ったが拒否されてしまっていたのだ。しかし・・・今日はどうだ?
・・・全力でやれる・・・あのリュカウスと全力でぶつかり合える・・・オレの血が・・・狂うほどの歓喜の悲鳴をあげている・・・あぁ・・・いい・・・命の削り合いをさらに激しく・・・共に命を輝かせようではないかリュカウスっ!!
「ふははっ!いくぞハイロリぃぃぃ!!」
「ひゃははっ!いいぞ・・・いいぞリュカウスぅぅぅ!」
「命唱。我が名はリュカウス。人狼の王なり」
「命唱。我が名はハイロリ。未来の人間の王なり」
さぁ・・・殺し合おう(愛し合おう)