闇と光 第119話 罠使いとしての誇り
戻るとリュカウスが座りながら待っていた。
「無事助け出したのか?」
「あぁバッチリだ。マーキングもしてきたしな。オレの嫁だから手を出すなよリュカウス」
「くくくっ・・・他人のものに興味はない」
「ところでザックって知っているか?お前のことを偉大な王と呼んでいたぞ」
「ザック?・・・知らんな」
オレはリュカウスに向こうで体験してきたことを話した。しかし謎が解けることはなかった。鍵は変態。それは間違いない。変態も変態なりに考えてやっているみたいだから語りたくなったら聞いてあげることにしよう。変態は焦らしてあげるのが1番喜ぶし。
ハイロリさんと体を共有したことによりなぜかマナの総量が上がっていた。共鳴って肌が触れてなくてもできるんだな。早く君と濃密に愛し合いたいぜ・・・。そのためにはリュカウスを突破して先に進まないとな。よっしゃやってやるぜ!
はい。やっぱり決着がつきませんでした。やはりハイロリファントムを極める必要があるらしいです。ついに名前だけは決まったのだ。タイミングがシビアなんだよなぁ・・・。
転移塔に向かってとぼとぼ歩いている。最近は歩いて帰るようにした。なぜかというとカポネ組は元々なのだが、円卓の騎士のメンバー達が積極的に話しかけてくれるようになったのだ。エキシビジョンマッチを見て感動してくれたらしい。それになんかオレのファンもいた。人生初のファンクラブ・・・悪い気はしない。
男もいるけれども女の子も結構いる。オレは女の子のために歩いている。戦闘終わりの女の子の匂い・・・結構なお手前で。特にジャンヌ達のアマゾネス組が素晴らしい匂いをしている。鎧の中で熟成された匂いもまた格別だ。
ファンクラブの女の子は結構積極的だ。普通のファンとは違う。握手を求めてくるわけでない。自身の匂いの感想を求めてくる。オレが匂いに弱いことがどうやら知れ渡ってしまったらしい。中にはオレだけにちらっと下着を覗かせ感想を求めてくる子達もいる。ファンができるっていいことなんだな。
下着の奥からかなりいい匂いをオレに届けてくれる子もいる。勢い余って隠せていない子もいる。おかげで抜刀状態で街を歩くことになってしまっていた。下着を見せてくれた子だけには、服越しではあるがちらっとロングコートの隙間から見せてあげている。結構喜んでくれている。これがファンサービスと呼ばれるものなのだろう。
たまにそのまま抱きつかれてオレを求めてくる子もいるのだが、すべて断っている。これはきっとハニートラップと呼ばれるやつだ。罠使いが罠にかかってしまっては面目丸潰れである。オレがこんなにモテるわけないのでほぼ罠だと確信している。
それに罠じゃなかったとしてもオレには天然物のハニートラップが仕掛けられている。オレのハニー・・・そう嫁達にバレた時点で説教されてしまう。その子を新しい嫁に加えることができればいいのだが・・・ハニー達はそれを認めてはくれないだろう・・・嫁のうち1人でもいればこの子達に目を向けることはなくなってしまうんだけどね。オレは嫁達の魅力という罠に既に嵌められているのだよ。あぁ・・・結局罠使いの面子などオレにはなかった。
ん?転移塔の前にアサ吉に香織っち、カポネとジャンヌの4人が立っているな。ニューカマー道を極めたお兄さんとお姉さんの合体系おにえさんの姿はオレには見えていない。そういう設定で乗り切ろう。
「ハイロリ待っていたぞ。その様子だとまだ勝ててないようだな・・・」
「アニキっ!オレ達だけじゃ第3エリアのボスを突破できないっす。手を貸して欲しいっす!」
聞けばボスエリアで大苦戦しているらしい。前に聞いた時はボスまで辿り着けてなかったのにようやくか・・・。他支部に周回遅れとはたるんでいるぞ君達。
分裂再生を繰り返す鯨の群れを前にボスの姿をちらっとしか確認できていないらしい。第3エリアは海エリアということだった。確認できているボスの姿は長い髪そして魚の下半身・・・そいつはまさか・・・超絶美形と名高い伝説のお姉さん・・・人魚というやつなのでは!?でもあとで確認できるし急がなくてもいっかぁ。
「助けてやりたいのは山々なんだけどな・・・リュカウスという化け物がオレの前に立ちはだかっていてな・・・新技をマスターすれば突破できるかもしれないのだがこの技がまた難しいんだ」
アサ吉とカポネはちょっと落ち込んでいる。だって真面目に勝てないんだもん。しょうがないじゃん。奇跡的に0デスの点を褒めてもらいたいよね。うんうん。
「カポネわかってないわねぇ」
「アーサーもそうですよ。慶太さんいいですか?」
ジャンヌと香織っちがオレに近寄って耳元で囁いてくる。
「慶太さん。いつもは先輩怖いですけど第3エリアなら大丈夫だと思うんですよね。海エリアにはビーチがあるんですよ。女の子の水着見放題ですよ!」
「私達アマゾネスの水着姿も見放題よ?うふふ。早く私達の水着を見て欲しいなぁ・・・」
「ジャンヌ・・・水着って際どい水着!?」
「際どいのがいいのかぁ・・・しょうがないなぁ・・・。みんなに見せるのは恥ずかしいからあなただけになら見せてあげてもいいわよ。アマゾネスみんなで張り切っちゃうから早くき・て・ね」
水着・・・それは伝説の防具。防御力が無いのに最上位に位置付けられるほどの神器である。日光に照らされし装着者。いつもと違うサンパワーを吸収したいい匂いがオレを呼んでいる。
待っていてくれ!オレは第3エリアに行く!ジャンヌ達お姉さんがオレを呼んでいる。お姉さんの期待に応えられないで何が男だ。男としてやってやる。オレはリュカウス・・・そして第2エリアも突破し、匂いを思いっきり堪能してやる!・・・燃えてきたぜ!血が滾ってきたぜ!ハイロリファントム・・・絶対にマスターしてやる!
「ハイロリが燃えている・・・」
「アニキがやる気に満ち溢れてるっす!」
「香織さんなんて言ったの?」
「うふふ。第3エリアの情報を教えてあげただけですよ」
「ジャンヌもなんて言ったんだ?アニキがあそこまでやる気を出すとは・・・」
「あらあの人のことお互いに理解できてると思ってたけど・・・えへへ。今回は私の勝ちみたいだね」
ハイロリは香織とジャンヌによるトラップに簡単に堕ちた。罠使いの面目はもはや微塵も残っていない。
よぉし水着のため頑張っちゃうぞぉ!!
「慶太さんってチョロいのね・・・。先輩絶対この人離しちゃダメですよ。私でも簡単に墜とせますよ!悪い女に騙されちゃいますよ絶対・・・」
「私達のこともなんだかんだいつも気にかけてくれてるしね。言い寄られてるけど断ってるみたいだし・・・彼女達には一途よねぇ。もっと早く出会えてたらよかったのにねぇ・・・」
「まぁ私達はあっちで我慢しましょう。高水準の男なのは間違いないですし」
「うふふ。そうね。みんなに言ったら張り切って水着選びそうだわね。あの時のことみんな忘れられないみたいだし」
ハイロリはチョロかった。