闇と光 第116話 宇宙の種子

あぁ立てねぇ・・・。絶理痛がやばい。慣れたらこれもなくなるんだろうけど練習不足だな。気持ちが昂りすぎて肆の理までノータイムでいけたな。しかしあの野郎・・・いとも簡単に同じ領域まできやがった。さすが王だな・・・まっリュカウスも立てないようだが。

 


「リュカウス君は僕が保護しておいてあげよう。彼の主は気まぐれだからねっ。あははっ!君は必要ないだろう?ハイロリ君。

 


早く助けてあげてね女の子達」

 


デキウスの言葉を聞き、嫁達は一斉に舞台に舞い降りる。それぞれの閃光の色が彼女達の属性のようだ。

 


「ごめん・・・張り切り過ぎちゃった。動けない・・・でなんでみんなそんな顔が紅いの?」

 


彼女達が身体に向かって一斉に口づけをしてくる。オレの唇を奪ったのはチャーリーであった。さすがだな。舞台に来た時から計算し尽くされていたポジションにいた。最初から狙われていたようだ。才能の無駄遣いというやつだな。オレ的には素晴らしい才能と褒めちぎりたい。

 


そして勢いよく抱きつかれる。でも痛くない。さすが気遣いもできる優しい嫁達。高等テクニックをいともたやすく無駄に使ってくる。まったく・・・誰に似たのであろうか。胸が苦しくなるほどの愛情を感じる。どうやら当初の期待通り惚れ直してくれたようだ。先ほどまで忘れていたのは秘密だぞ?実は闘いを純粋に楽しんで夢中になってた。これが嬉しい誤算・・・いや最初は考えていたから嬉しい正算?もうよくわからんことになってしまった。

 


デキウスが盛り上がったご褒美として動けるようになるまで嫁達と一緒に過ごさせてくれるらしい。変態神お前できるな!神というだけのことはある。よっ!変態っ!!変態が輝いて見えるぞ!

 


オレは彼女達の好きにされてしまう。むしろ好きにされたい。特にチャーリー。彼女はいじめられるのも好きだがいじめるのも得意である。今から楽しみになってしまう。彼女達からされるなら攻撃側も防御側・・・どちらもオレは大好きだ。

 


それはそうと・・・この星の住人達は強いな。オレとリュカウスと同格以上の者がそれなりに感じられた。今思えばカジノの最初で戦争にならなくてよかったと思う。ただ死ぬだけの兵士が量産されるところであった。

 


観客席に連れて行ってもらうと仲間達から次々に声をかけられる。カポネ組の面々は涙を流しているほど興奮している者達もいる。そしてカポネうるせぇ・・・疲れてるからもうちょっと静かにしろよ。

 


同じくレナの部下が泣いていた。暑苦しい男達が多いようだ。オレに忠誠を誓ってくる。頼んでもないけど好きにしてくれ。したいならそれは君達の自由だ。ボスに相応しい男にしてキングボスの座に相応しいお方だと、先代ボス達に報告をしているやつすらいる・・・いやまぁレナはオレの嫁だけどな。そして王にもなるつもりだけどさ・・・先代って・・・。

 


カーチャのギルド虹の魔女の面々は憧れの者に対面したかのようにそれぞれ反応している。しかし数がやばいな。北ユーラシア支部最大ギルド虹の魔女。その数10万人以上・・・支部の半数以上がそのギルド連合に所属している。カーチャがマスターをしているが副マスが主にまとめているようだ。うん・・・カーチャはまとめるような子じゃない。結構自由奔放だからな。そんなところもまた魅力的なのだけれども。

 


チャーリーの部下達はうっとりした表情でこちらを見ている。あれ?君達男に興味がないと聞いていたんだけど・・・。嫁達が許可を出すというならそれなりに可愛がろうと思うがチャーリーがそれを許さないだろう。

 


なんだかんだ独占欲が1番強いのはチャーリーである。普段はドSの女王様なので部下達に許可を出すわけがない。実際は見た目や口調からは想像もできないほど溺愛してくれている。そんな姿が可愛い過ぎて魅力の海に溺死させられてしまいそうになる。

 


ジャンヌ達はきゃぁきゃぁ言っている。彼女達はカポネ組に毒されたらしい。ちなみに運動神経抜群のアスリート系揃いだ。鎧から覗かせる肌は引き締まっていっていい景色を生み出している。いつか女だらけの競技服着用の大運動会を見てみたい。

 


ビッチ後輩こと香織っちは美貴をからかっている。美貴が照れまくっている姿がそそる。なんだかんだ先輩大好きウーマンになってしまったようだ。仲が良い方向に改善されたのが嬉しい。あの時のことは当時のように液体で垂れ流そうではないか香織っちよ。

 


アサ吉は何かを話したそうにしているな。何かに悩んでいるように見えるが・・・ったく世話のかかるやつだ。どうしたのか聞いてみる。

 


「ハイロリ・・・なぜお前はそこまで強い信念を迷いなく持ち続けられるんだ?その考えは敵が大勢できることになるのに・・・」

 


「・・・ん?いつ聞いたんだ?」

 


「・・・ライブ中に偶然聞いてしまった」

 


「そうか。まぁいいや・・・いずれ少しずつみんなに話すつもりではいたからな。なぜと聞かれるならばそれは必然だ。オレのすべてのピースが繋がり1つのものになっていた。しっくりくるんだよ。呼吸しているかのように自然にオレの中にある。遥か昔からオレの中にあるという懐かしさすら感じられる。だから今までの世界は居心地が悪かったんだろうなぁ。

 


敵が大勢いるからやめるのか?みんなと違うからやめるのか?オレはそうは思わない。一人一人みんな違う。そして一人一人が自由である。周りに合わせる必要はない。この世界は自由なんだ。それが自然の摂理だ。オレはオレだ。オレの道を進む。どんなゴールが待っていようともその方が後悔しないだろ?

 


たとえ1人だとしてもオレはやる。嫁達がみんな一緒に成し遂げてくれるから1人ではないんだけどな。頼もしい仲間達とともにオレはやる。ただやらないといけないことがひとつ増えてしまった。嫁達は何があってもオレが守り抜く。

 


迷うくらいなら突き進め。地球には正義なんてものは存在しない。地球にあるのは悪だけだ。悪と悪が争うのを止める者なんているのか?弱肉強食。これもまた自然の摂理。強い者は弱い者の命すら握っている。

 


命は平等だがそれをどうするかは各々の自由だ。必要もなく命をとるならばその者に回り巡って帰ってくるだろう。宇宙は広い。強い者などたくさんいる。弱き種族はもっと考えて生きていかなければならない。それこそ驕り高ぶった人族など論外だ」

 


「悪か・・・確かにな・・・だから僕はそう思ってしまうのか・・・ありがとうハイロリ。少し楽になった。弱者・・・ハイロリお前はどっちなんだ?」

 


「ならよかったよ。オレは悪であり弱者だ。身の程はわきまえている。それをどう判断するのかは強者達の自由だ。宇宙というピラミッドの頂点に近い者達の気分次第かな。だけどオレは止まらない。たとえ圧倒的強者と対峙しようとも抗い続ける。愛する人や愛する同族をオレは守りたいからな」

 


デキウスはそんな2人を見ていた。

 


「彼もまた宇宙の種子を持つ者・・・覚醒しようとしている。ハイロリ君は既に覚醒している。覚醒とは伝染していくものなのか・・・なるほどね・・・そういうことか。だから今までの実験はすべて失敗に終わったのだな。

 


この実験に集められた中には、地球上の宇宙の種子を持つ者達がほとんど揃っている。これは遂に栽培の地である地球も役目を終える時が来るかもしれないね。

 


地球が進化すれば・・・その時がくれば・・・もうひとつの扉を開くことができる。もうしばらく待っていてくれ・・・我が兄弟よ・・・」