闇と光 第133話 ゴブリン。をプロデュース

「ゔぅ・・・ゴブ蔵ぉぉぉぉ・・・死なないでくれよ・・・あんなに元気に笑っていたじゃないか・・・オレにお前を助けることはできないのかぁぁぁぁ!?」

 


あれから何度もゴブ蔵ルートにオレは挑戦した。彼は何度でも一騎討ちを挑む勇敢ないい奴なんだ。勝てなくても挑む・・・漢の中の漢だぜ・・・結局オレにはゴブ蔵の命を救うことはできなかった・・・。

 


「「「「ゴブ蔵ぉぉぉぉぉ!」」」」

 


美貴も吉子もサリーも一緒に泣いてくれている。なんとか助けたくてみんなで行ったからな。今は嫁達が総動員でオレ達を慰めてくれている。六花は真っ先にパパをスルーして動物達を慰めに行った。パパ悲しい・・・。

 


成果らしい成果はまったくない。強いて言うならば肆の理による絶理痛はなくなった。そして絶トムちゃんからは一瞬でフラれるようになっていた。もうオレへの気持ちは無くなってしまったらしい。あんなに愛し合ったというのに・・・いかにオレが赤い妖精さんに葬られたかがよくわかる。ゴブ布絶対あとでボコボコにしてやっかんな。

 


ゴブ蔵の死がそろそろ耐えきれなくなってきたので気分転換に今度は左ルートに進んでみようと思う。そういえばデキウスに要望を出したら一度見たムービーはスキップできるようにしてくれた。ただゴブ蔵の一騎討ちをスキップするなんてオレにはできなかった・・・。

 


第2回ハイロリスパイ作戦決行だ。こっちのルートはゴブ蔵のような野盗は出ないようだな。何事もなくオレは華麗に先へ進んでいった。野良ゴブリン如きじゃオレを捕らえることはできないのだよ。しばらく突き進んだその時である。

 


「きゃああああっ!」

 


女の子の悲鳴が聞こえる!行かなくてはっ!!待っていてくれお姉さん!

 


「ゴシシシッ。さぁ満足させてくれ」

 


「アニキッ!終わったら回してくだせぇ」

 


・・・そうだった。ここはゴブリン星であった。ゴブリンの女の子が3名ほどのゴブリンに襲われていた。まぁ女の子を見捨てる選択肢はないよな。

 


「オレの女に手を出すんじゃねぇ!その汚ねぇもんしまえやっ!」

 


オレはチンピラゴブリン達を瞬殺してやった。

 


「・・・助けでくいっでありがど。あんたは種族が違ぇのに助げでくれんなんの?あだすの名はゴブ蝉(せん)。どうが村まできてくだせぇ。お礼すっさげの」

 


・・・ミックスしているがかろうじてわかる。オレの故郷の方言に似ている気がする。ゴブ蝉ちゃんか・・・ゴブ蝉?・・・くくく・・・ゴブ布こいつはてめぇの弱点になりそうだなぁおい。

 


しかしこの状態ではどう考えても門前払いだな。変身させるしかないようだな。今度は育成か・・・ゴブ蝉プロデュース作戦始動だぜ。これは美貴さんの手を借りなければ不可能だな。仕事から帰ってきたらお願いするとしよう。そうこうするうちに村へ着いたようだ。あれ?体が動きません。ムービーがまたきたようですね。

 


「ゴブ蝉がら離れれっ!」

 


「ゴブ蝉になぬすんだっ!?」

 


はい?なんですと?何もしてねぇよオレ・・・。

 


「ち、違うんだみんな・・・話聞いでけろっ!!」

 


「ゴブ蝉はなんも言うなっ!そいづに言わされでんだろっ!?ゴブ蝉をけぇせぇ!」

 


・・・なんで戦闘になるんだよっ!?どうすりゃいいのこれ・・・かくなる上は・・・。

 


「動くんじゃねぇ!!ゴブ蝉の命が惜しかったらオレに投降しろっ!ゴブ蝉の首が飛んでもいいのかこらっ!?」

 


人質にとってとりあえず武装解除させよう。それから話し合っても遅くないはずだ。ん?綺麗な光がおひとつありまして・・・?ゴブ布じゃねぇよな?そうだよね?まだプロデュースしてないから君じゃないはずだよね?

 


「非道な行いは見逃せませんねぇ・・・この愛の非道戦士ゴブジョーカーがお相手致しますよ」

 


うわぁ・・・ジョーカーさん意味わかんないとこで現れた・・・こいつ他のマークよりできるな・・・できることなら捌界で対処しておきたいところだが・・・やってみるしかねぇか!

 


捌界っ!!

 


「ゴブジョーカーっ!その首貰い受けさせてもらうっ!」

 


「ははっ!いいですよ・・・かかっておいでなさい」

 


なかなか速いようだが・・・まだまだ甘い。ハイロリファントムだよジョーカーさん!!

 


「くっ・・・殺せ。私の負けだ・・・」

 


「オレの配下になる気はないか?」

 


オレは手を差し出した。こいつらだって生きている。きっとわかりあえるはずなんだ。ジョーカーがオレに手を差し出してくる。あぁ・・・新たな友情が芽生えそうな気がする。

 


「くくっ!バカめっ!」

 


ゴブジョーカーは手からマナをハイロリに向かって放出した。しかしハイロリの体は漆黒の手へと変わる。ゴブジョーカーがなす術なく捕縛される。

 


「ひとつ・・・どうせやるなら声を発せずやれ。

 


ふたつ・・・もっと卑怯な手を使え。まだ綺麗すぎる。そんな手では生温い。

 


みっつ・・・もう1度聞く。オレの配下になる気はないのか?」

 


「ならせていただきますのでこの手から解放してくださいっ!」

 


ゴブジョーカーの体は引き裂かれていた。

 


「あははっ!配下をとるもとらないもオレの自由なんだよ。今のお前にはなんの魅力も感じない」

 


・・・時間切れか。うーむ・・・テンションが上がってくるとダークサイドのオレが出てくるな。でも嫁達には結構人気があるんだよな・・・このモードのオレ。まぁ・・・本心だしいっか。

 


ハイロリは知らない。ハイロリのこのモード。嫁達の間では本音モードと呼ばれている。ハイロリは気づいていないが嫁達に対して未だに少しだけ壁を作っている。口調は変わってしまうが・・・これがハイロリの壁が完全に消え去った状態・・・即ち本音なのである。

 


ん?地鳴り?・・・ってことはお前だよなぁ?

 


「こっつですだぁ!!へいす様ぁ!!」

 


「通報感謝する。侵入者に突撃せよっ!!」

 


あぁ・・・今度は通報してたのね。ゴブ信とは切っても切れないような関係のようだな。運命的ななにかを感じるよ・・・。うんそうだよね。綺麗な光がたぁくさん・・・きらきらだねぇ。

 


さてゴブ信さんとともにレギュラー化しているゴブ布さんに無事オレは殺された。

 


侵入者ってどういうことなんだ?・・・あぁそっか。なるほどな。他種族であるオレがいきなり星に現れたらそうなるか。それこそ閉鎖的な星だったら・・・たぶんここはそういう星なんだろう。

 


鎖国ならぬ鎖星をしているんだと思う。自分の住んでる地域にいきなりゴブリンが現れたらほとんどの人は通報するだろう?たぶん同じことが起きているんだろうなぁ・・・。そりゃゴブ蝉を離せってなるわな。つまり現在はゴブ蝉プロデュースのスタートラインにすら立てていないわけか。

 


打開策はなくもない・・・ただいけんのかな?ゴブリンは特別何かの五感が優れているとかなさそうだからいけるような気もするけど・・・。まぁあいつを信じるしかないよな。