闇と光 第135話 連環の計

そろそろゴブ布の元へ行こうと思う。今回は作物だけでなく動物の飼育も行なっていた。煌びやかな馬車に乗り優雅な旅をしている。美貴ペディアの力が便利過ぎてやばい。なんにでも応用できそうだな。

 


オレ達が山道を通っている時にあることが起こった。ゴブリン達により進路を塞がられてしまう。さらに後方にも現れる。高所から弓を構えているゴブリン達もいる。

 


「そこの馬車っ!!逆らわなければ痛いことはしねぇ!!シマに入ったからには全部置いていってもらおうか!?」

 


オレ達は目を疑った。マナで索敵すると周囲にいるゴブリン約10万。それがすべてが野盗ゴブリンである。ここはどうやらゴブリン大盗賊団の縄張りらしいのだ。そしてリーダーらしき人物がオレ達の身包みを剥がそうとしてきている。ゴブ允一行と大盗賊団ボスとの初めての出会いであった。

 


「「「「「ゴブ蔵ぉぉぉぉぉ!!」」」」」

 


「なんでお前ら盗賊に会えて泣いてんだよ・・・気持ち悪いな」

 


忘れもしない盟友との再会であった。ゴブ蔵は大出世していた。勇敢な漢ゴブリンである。そんな彼に付き従う者達も多かったのだろう。オレ達は再会を泣きながら喜んだ。そして盛大に再びゴブ蔵をボコった。

 


ゴブ蔵は相変わらず弱かった。ただスピードはかなり成長していた。スピードスターゴブ蔵という二つ名がオレ達の中に出来上がった。オレ達とゴブ蔵は以前のようにすぐに打ち解けた。そして再び行動を共にすることとなる。

 


「「「「ゴブ♪ゴブ♪ゴブリンッ♪」」」」

 


ゴブ吉、ゴブ子、ゴブリーはゴブ蔵とさっきからずっとこの調子である。よほどゴブ蔵に懐いてしまったようだ。ゴブ蔵に馬を与えると上手に乗りこなしていた。試しに偵察をさせてみたらこれが見事にはまった。

 


ゴブ蔵は戦闘よりも諜報が向いているのかもしれない。ずっと名前は気になっていたがどうやら国が違うらしい。こいつはきっと忍者の素質があるはずだ。道中このゴブ允が直々に練兵しようと思う。

 


オレ達は斥候部隊を加え、旅を続けた。練兵の成果も上げた。ゴブ蔵達は訓練をしていた時、黒いゴブリンに突然変異したのだ。忍の素質があるからなのか、はたまたオレの闇のマナの影響なのかはわからない。ブラックゴブリンとオレ達は呼ぶことにした。全能力が上がっていたのでゴブリンも育成できるのではないかと推測した。しかしそれは今後ゆっくりと試してみようと思う。

 


ゴブ布よ・・・私は戻ってきた!!我が愛ゴブリンの虜となってしまえ!

 


「美しい・・・」

 


さすがミスゴブバースの優勝者。ゴブ蝉はゴブ布に一目惚れされてしまった。苦労して育てた甲斐があるぜ・・・あとはじっくりと寝首をとろうと思う。しかしここで想定外の事態が起こる。

 


なんとゴブ卓の元へ婚姻の報告に行くというのだ。お前謀反しようとしてたのになんでそうゆうとこ律儀なんだよ・・・。ゴブ布によってオレ達はゴブ蝉の両親として連れて行かれることになる。そして体が動かない。恒例のムービータイムですね。

 


「父上!この度この者と婚姻致します」

 


「なに・・・ほぅ・・・ゴブ布よ。その者は余がもらう。よこせっ!」

 


「なっ・・・!?これは我の女だぞっ!?」

 


「余は王であるぞ?父である余に口答えする気か?まぁ・・・よかろう。ならばその者にどちらの妻がよいか選んでもらおうでないか?そこの女・・・どちらの妻になりたい?」

 


「私は・・・このお方がいいです!」

 


えっ・・・ゴブ蝉さん?それまずい流れですよね?

 


「ゴブ允様をずっとお慕い申しておりました。私はゴブ允様に嫁がせていただきます!」

 


ねぇ?なんでゴブ卓さんとゴブ布さんがプルプルしてるの?あっ・・・スパーキングしちゃった・・・しかもどっちも・・・。

 


「ゴブ布よ・・・今までのわだかまりはすべて水に流そうぞ。親子で手を取り合い共通の敵を打倒しようではないか」

 


「ええ・・・父上・・・今までのことは水に流しましょう。あの逆賊ゴブ允をともに討ちましょうぞ!!」

 


ちょ待てや!なんで親子の絆が深まってるんだよ!?なに肩組んでんだお前ら!?・・・ちくしょう・・・やるしかないというのか・・・。

 


ゴブ王族対ゴブ允の闘いが始まる。ゴブ美達はいつものようにゴブガードとの闘いが待っている。

 


「・・・このゴブ允を舐めるなよっ!!返り討ちにしてくれるわっ!!肆の理じゃぁぁぁぁっ!!」

 


結局ゴブ允は王族タッグの前に成す術なく屈した。数の優位とやらは認めなければならないようだ。

 


私はあれから色々試した。我が名付けた策・・・連環の計。何回試してみてもゴブ卓、ゴブ布の強化という結末しかなかった・・・。

 


弱体化させるはずの計であったのだが、父と子の心を鎖で繋ぎ止め、絆を深める計だったらしい。ゴブ允はこの失策の責任をとり隠居することを決意した。この日以来ゴブ允の姿を見る者は誰もいなかったという・・・。

 


新たなる策をまた考えなければならないようだな・・・。ゴブ蝉を助け、村開拓ゲーをして馬を手に入れる。そうすればもしかしたらゴブ蔵がやってくれるかもしれない。あいつはきっとやってくれるはずだ。新たなルートを探らなければなるまいな・・・。

 


「「「「「ゴブ蔵おおおおお!!」」」」」

 


ついにやった。あのゴブ蔵が砦の将を討ち取ったのだ!馬というキーアイテムが必要だったのかもしれない。砦を抜けた先には立て札が3つある。陸海空軍それぞれの本部へと続く道があるようだ。ゴブ蔵ルートは修羅の道らしい・・・。

 


オレ達は何度も試した・・・しかし本部まで辿り着くことはできなかった。戦力が足りない・・・ゴブロリ軍盟主として担ぎ上げるゴブリンが必要である。ゴブ蔵では盟主として役不足・・・探しに行くしかあるまいな。幸い・・・道はある。

 


村の開拓、ゴブ蝉の好感度・・・それとも別の何か。どれが条件だったのかはわからない。スタート地点が消え、そこに新たな道ができていた。この先に打開する新たな出会いがあると信じてオレは突き進もうと思う。

 


ゴブロリ達の挑戦は続く。