闇と光 第141話 長坂坡の闘い

ゴブ備率いる元陸軍が近づいてくる。殿役を担当するのはゴブ信とゴブ信隊2000。ゴブロリそして民に偽装している黑州兵その数3億。

 


ゴブ羽とゴブ良はそれぞれ4000ずつを率いて先頭にいると見せかけて伏兵として配置してある。大将自ら突撃させるわけだ。まぁ本人が行きたいって言ったのでじゃあ・・・どうぞどうぞ。そんな軽い流れで決まった配置である。

 


ゴブ羽軍の軍議は結構雑である。ゴブ良とゴブロリが策を言い合い、それらを合わせる。そしてその間ゴブ羽とゴブ信はそわそわしている。ゴブ羽もゴブ信も間違いなく脳筋よりの戦闘狂なんだよなぁ・・・ゴブ良がいなかったらやばかったと思う。

 


現在民を挟んで我慢比べをしているところである。ゴブ備軍が民の隊列を乱そうと圧をかけてくる。だがこれは民ではない。手塩にかけ育て上げた黑州兵達である。

 


それも精鋭部隊を集めている。そんな圧に屈するほどヤワじゃない。黑州兵は愛・天・地・人部隊の4つに分けられている。それぞれの部隊の上の中クラスを集めた。

 


もっと連れてくることもできたのだが別の狙いがあったので今回は3億に踏みとどまっている。隊長含め上の上クラスは厳しい修行をさせているのでそもそも連れてくることはできない。今回は黑州二軍兵といったところだな。

 


この闘いを通してゴブ信の名前を売ろうかと思う。ゴブ飛のモデルであろう張飛さんを真似させる。ゴブ超・ゴブ飛コンビでこない限りは手助けはいらないと思われる。ゴブ雲は個としてはそこまで強くない。ゴブ備軍の中において、この長坂という地形の上でならゴブ信を止められるパターンは1つしかない。ということで確定無双をしてもらう。

 


さてさて・・・そろそろ痺れを切らしそうなのでゴブ信を最後尾に下げるか。ゴブ備もそうなのだが、どちらかというとゴブ信が暴れたくてうずうずしている。ぜひ盛大に暴れてゴブ備軍に恐怖を叩き込んでもらいたいところだ。

 


「ゴブロリ様・・・こちらに」

 


「いいタイミングだ。次の指令は・・・。

 


ということなので先回りして置いてくれ」

 


「「「「「御意」」」」」

 


ゴブ権の身柄がゴブロリの元に届けられる。さてどうしてやろうかな・・・いろんな使い道のありそうな物が手元にある。

 


「我こそはゴブ信っ!!我が黑槍の餌食となりたいものからかかってこいっ!!」

 


ゴブ信の声がここまで届く。かなり気合が入っているようだな。体動かすの好きだからなぁ・・・まぁ盛大にやってくれや。

 


ゴブ信が次々にゴブ備軍の将を討ち取っていく。士気も下がってきている。やはり三軍の中で陸軍は最弱だな。そろそろ大将クラスが出てきて欲しいが・・・おっ!ムービーきたっ!!これは期待できるはずっ!

 


「我こそはゴブ飛っ!!星下に轟く万に匹敵するゴブリンなりっ!!ゴブ信その首貰い受けるっ!!」

 


ゴブ飛さんきたぁぁぁぁ!しかもスパーキングしていらっしゃる。

 


「相手にとって不足なしっ!!我こそはゴブ信っ!!億に匹敵するゴブリンなりっ!!貴殿を討ち取り、この名・・・星下に轟かせてくれようぞっ!!」

 


おっ・・・きたきた。ゴブ信もスパーキングしてくれた。もしかしたらしてくれるかなと期待してたんだよね。ゴブ信って褒めれば伸びる子だから、事前に褒めてやる気を出してある。ここで暴れ回れば億に匹敵する兵って呼ばれるぞってこっそり耳打ちしたのが功を奏したようだな。うんうん。

 


ゴブ信の元にゴブ飛が突貫してくる。槍と槍が激突するかに思われたその時・・・突然ゴブ飛の体が一瞬止まる。

 


「おのれぃっ!!ひきょ・・・」

 


ゴブ飛の首が宙を舞い、ゴブ備軍の兵の元へ放物線を描きながら落ちていく。

 


「これが我らの正々堂々である。一騎討ちなど受けたつもりはない。我が師の正々堂々を我らは受け継いでおるのだ。命の奪い合いにおいてそれは甘いのではないか?ゴブ飛よ・・・。

 


ゴブ羽が将っ!!我が名はゴブ信っ!!陸軍3大将ゴブ飛討ち取ったりぃぃぃぃぃ!!」

 


ゴブ信が高らかに勝ち名乗りを上げる。たった一撃でゴブ飛が討ち取られたため、ゴブ備軍には激震が走った。

 


残念でした。一騎討ちはすべてゴブ羽に禁止するように命じてあるんだよ・・・ひゃはははっ!!考えが生温い・・・甘すぎるっ!!一騎だけ確かに下がった・・・でもそれは1対多をしているに過ぎない。さっきから将兵が1人ずつ挑んできて吹き出すのを我慢するのが大変だったぜ。

 


ゴブロリはゴブ信の前方に慶トラップを配置していた。ちなみに挑んできたすべての将に対して同じことをしている。ハイロリチェンジャーにより景色と同化させたステルスハイロリハンドで敵の体を拘束している。もちろん気配はゴブロリのフルパワーで隠蔽している。ゴブ信には隙を作るからばしゅっとやれ。その一言しか伝えていない。脳筋の扱いには慣れているゴブロリであった。

 


ゴブ備軍は最強の将を失った。兵達は恐慌状態になってしまっている。ゴブ備は退却の指示を出そうとしていた。

 


「全軍っ!!退「いいのかっ!?逃げるならこいつの首が飛ぶぞ!?」」

 


ゴブ備の声をゴブロリが遮る。ゴブロリが漆黒の十字架を掲げている。十字架にはゴブ権が磔にされていた。

 


「姉上ぇぇぇぇぇっ!!」

 


「けぇぇぇぇぇぇん!!ゴブ備様早く権を助けてっ!」

 


「ゴブ香には悪いがこれ以上の損害を出すわけにはいかない・・・全軍退却せよっ!!」

 


「ゴブ香っ!!乗れっ!!」

 


一騎のゴブリンがゴブ香を後ろに乗せ、味方を薙ぎ倒しながらこちらに向かってきている。

 


「何をしているっ!?ゴブ雲っ!?退却するのだぞっ!?」

 


「ゴブ備様・・・あなたみたいな叔父さんはもうごめんだわ。私の願いも聞いてくれないなんて酷いゴブ男ね・・・あははっ!!私はもうゴブ雲様の物なのよ?ゴブ雲様に近づきたくてあなたに嫁いできたのよっ!!もう汚い物を見なくて済むと思ったら清々するわっ!!」

 


「・・・なんだと・・・ゴブ香・・・偽りの婚姻だったというのか・・・おのれっ!!ゴブ雲っ!!我を騙しておったのかっ!!全軍ゴブ雲の首を討ち取れぇぇぇっ!!」

 


「なりませぬっ!!ゴブ備様っ!!ここは退却あるのみです!!いたずらに兵を失うのは避けねばなりませぬっ!!」

 


「えぇぃっ!!止めるなゴブ正っ!!全軍奴を殺せぇぇぇぇっ!!」

 


ゴブ正の静止も虚しくゴブ備の怒りは止まらない。ゴブ雲は趙雲の如き一騎掛けを魅せている。その体はスパーキングしていた。ゴブ権の元へと一直線に駆け抜ける。ゴブ備軍の兵を薙ぎ倒しながら・・・。

 


「止まれぃっ!!ゴブ雲っ!!我がその首貰い受けるっ!!」

 


「邪魔ですっ!!私の愛道(ラブロード)を阻むと言うならば貴殿と言えども容赦はしませんっ!!ゴブ超ご覚悟をっ!!」

 


ゴブ備軍3大将同士が馬上での一騎討ちの構えになる。両者がすれ違う。片方のゴブリンが馬から落ちる。

 


「愛の勝利ですっ!!義弟の元へ急ぎますよ。愛しのゴブ香・・・共に行きましょうっ!!」

 


「はいっ!!ゴブ雲様っ!!お慕い申しておりますっ!!」

 


・・・オレはいったい何を見せられているんだ?ゴブ超よ・・・本気で同情しちゃうわ・・・ゴブ備さんも気持ちわかるわぁ・・・不倫ってダメよね。