闇と光 第142話 尚と香開演

次々に味方を斬り殺し突き進むゴブ雲。ゴブロリは手で合図を出し、黑州兵達に道を開けさせる。そしてゴブ備軍が殺しあう中、ちゃっかりゴブ信には斬り込めという合図を送っていた。さらに黑州兵には包囲するかのようにゴブ備軍への攻撃の指示を出す。混乱極まる戦場でゴブ信隊・黑州兵が暴れている。

 


自軍の包囲網を抜けたゴブ雲を確認して、ゴブ備はようやく諦めゴブ正の進言を聞くことにしたようだ。反転し退却に移ろうとした時、背後から伏兵が現れる。ゴブ羽・ゴブ良軍である。敵軍総督ゴブ羽の登場に狼狽えるゴブ備軍。

 


さらに上空からは漆黒のゴブリンバード達が襲いかかる。ゴブロリが好機と見て呼び出していたのだ。ゴブ吉、ゴブ子の姿もある。ゴブ美はなんとゴブリーに騎乗している。

 


ゴブ美のマナで巨大化したゴブリー。交わってはいけないものがそこにはあった。空中から固定砲台と化し、ゴブリン兵を薙ぎ倒すその姿。ゴブリン戦艦美サ貴の初陣である。

 


「ゴブ蔵・・・あいつを死なせるなよ」

 


「ガッテン承知の介でござるっ!!」

 


口調がおかしいのは確実に空を飛んでる奴らのせいだな・・・。

 


「義弟を離してもらおうかっ!!私の愛のためにっ!!」

 


おお・・・ついにやってきた。ゴブ雲さんにビッチゴブリン・・・あれ?なんか熱い視線をオレに向けてらっしゃる?もしかして次のターゲットにされてます?

 


しかし・・・愛のためにあそこまで力を出すとは敵ながら天晴・・・利用価値はあるが・・・ゴブ雲に免じて返してやろう。そうゆうやつは嫌いじゃない。

 


「ゴブ雲っ!!お前の愛に免じて解放しよう。後は好きにしろっ!ゴブ備の手の届かぬところで仲良く暮らすのだな・・・」

 


「・・・かたじけない。さぁ義弟の権くん・・・兄である私の胸に飛び込んできなさいっ!!これからは共に仲良く過ごしましょう」

 


「兄上ぇぇぇぇぇっ!!」

 


・・・はっ!?ゴブ権くん!?なにやってんの!?

 


「いやぁぁぁぁっ!!うぅぅぅぅぅんっ!!」

 


感動の抱擁シーンが待っているかに思われた。しかし真逆ともいえるような光景がオレの目に映っていた。オレがゴブ堅にしたようにゴブ権はゴブ雲の心臓を綺麗に突き刺している。さすがにボクの頭ではもう状況がよくわからないよ・・・。

 


「感謝するぞっ!!ゴブロリとやらっ!!憎き父を殺してくれたこと・・・そして其方のおかげで邪魔者も排除できたっ!礼を言うっ!!これで姉上は私のものだっ!!」

 


「ちょっと!!権っ!!何してんのよっ!?雲とは中々相性が良かったのに何してくれてんのよっ!?」

 


「・・・ごめん。状況が理解できない。周りには誰もいないから説明してくれないか?頭の整理が追いつかない・・・」

 


ゴブ堅はゴブ香が小さな時からゴブ女として見ていた。そして夜な夜な関係を持っていたのだという・・・そこでゴブ香は女として目覚めた。次第に父とだけでは満足できず、家族を求め始めた。ゴブ香大好きゴブリンだったシスコンゴブ権はその様子を見ながら1人でしていたらしい。

 


そんなゴブ権の姿に気づいていたゴブ香は弟とも関係を持つことになる。ゴブ堅よりもゴブ権の方が良かったらしい。毎日のように交わっていたというのだ。ゴブ策について聞いてみた。オレは聞かなければよかったと後悔した。

 


ゴブ策はゴブ女には興味がない。親友のゴブ瑜と毎晩関係を持っているという情報がもたらされた。ゴブ香は2人同時に誘ったけれども、相手にされず喧嘩になる。そしてゴブ策はゴブ瑜がとられてしまうのではないかという危機を感じ、各将にゴブ香には気をつけろと注意喚起してしまったのだ。それにより元空軍の将兵からゴブ香はまったく相手にされなくなってしまったのだという・・・相手にしてくれるのは堅権コンビのみ。

 


そんな状況に耐えきれず、新たなゴブ男を求めてゴブ香は政略結婚をゴブ瑜に持ちかける。ゴブ瑜にとってはゴブ策を誘惑する嫌な相手である。喜んで策を練ったそうだ。

 


そうして陸軍総督ゴブ備の元へ嫁ぐこととなった。ゴブ権は父が自分と姉の関係を引き裂くためにやったことだと勘違いし、ゴブ堅をさらに逆恨みするようになる。元々姉を独占したかったので関係を持つ父が許せなかった。ずっと殺害の機会を伺っていたのだ。だから代わりに殺してくれたオレに感謝している。

 


ゴブ香はゴブ備に毎晩求められていたのだが、小さ過ぎて満足できなかった。それ故に陸軍の将達を誘惑し、密かに味見していった。そんな中見つけたゴブ男。それがゴブ雲である。容姿も性格も良い。そして相性もばっちり。次第に不倫回数が増えていく。

 


ゴブ羽軍に攻めた理由は酷いものである。ゴブ権は姉のそばにいたいがために父の死を口実に姉に会いに行った。しかしそれだけである。ゴブ権に非はない。原因を作ったのはゴブ香。

 


ゴブ香は黑巾の乱や陽人の闘いでオレ達を見て密かに狙っていた。なんでも匂いでわかるのだそうだ。たしかにオレ達4人は全員それなりの物は持っている。オレが自分の好みの女の子を匂いでわかるように、ゴブ香にも違うセンサーがついているらしい。

 


ゴブ香は闘いで勝ち、捕らえた後に牢獄に繋がれた無抵抗なオレ達をじっくり味見しようとしていた。自分の体で骨抜きにしてあげるつもりだったのだ。

 


この戦はオレ達と関係を持ちたいがために、ゴブ備を誑かしたゴブ香主導の戦なのである。それが今回の戦の背景の出来事なのであった。

 


空軍のやばい事情を知ってしまった。しかしゴブ橋姉妹を嫁がせて置いて正解だったな・・・あのままじゃずっと酷い生活だったろうに・・・健気でいいゴブ女達なので本当に良かった・・・。

 


「ねぇ?ゴブロリ様ぁ?今晩どぅ?私のこと好きにしていいわよ?・・・あらっ!?標準装備でこれなのっ!?戦闘モードに入ったら・・・良さそう・・・今までで1番いい男ね・・・やっぱり・・・あなたこそ星下一の無双よっ!!」

 


さりげなく触ってくるんじゃない・・・ゴブリンスーツの上からなのにこいつ上手い・・・いったい何ゴブの刀を納めてきたというのだ・・・。フーカに勝るとも劣らない絶技・・・ゴブ香できるな・・・。

 


「ゴブロリ貴様ぁぁぁぁぁっ!!姉上は私のものだっ!!」

 


「あら?権・・・まだいたの?私はゴブロリ様の物よ?あなたじゃこのお方の足元にも及ばないわ。これからゴブロリ様との初夜が待ってるから帰ってくれる?熱い夜を過ごすのに邪魔なのよね?わかってくれるよね?気が向いたらまた相手してあげるから・・・でもこれを見た後じゃあなたになんてまったく興味はわかないと思うけどね・・・ばいばい権」

 


「・・・。絶対許さぬからなぁぁぁ!!ゴブロリぃぃぃぃぃ!!」

 


ゴブ権泣きながら飛んで行っちゃったよ・・・しかしやべぇ・・・オレ全然この子に興味がないんですけど・・・どうしたらいいの・・・こんな堂々としたビッチ初めて見たわ・・・。

 


・・・ひ、ひぃっ!!

 


美サ貴から砲撃を受けるゴブロリ。一応ゴブ香をお姫様抱っこしながら避けている。彼は無駄にレディーには優しかった。さらにうっとりしているゴブ香。周囲に巻きこまれる味方がいなくてよかったなゴブロリよ。

 


長坂坡の闘いはかくして幕を閉じる。ゴブ羽軍の将兵達の活躍により、ゴブ備軍は半数以上の兵を失う大打撃を受ける。加えてゴブ羽軍1万がゴブ備軍40億を打ち破ったという報せが星中を駆け回った。そしてゴブ羽が弟にしてゴブ羽軍大将軍ゴブ信。その武勇は億の兵に匹敵するとゴブロリの狙い通りに星下に轟くこととなる。

 


さらにゴブ堅の家で繰り広げられる愛憎劇が明らかとなる。昼ドラもびっくりするようなどろどろの世界がそこにはあった。このような話は人間の世界だけでなく、違う種族の中でもあるようだ。

 


後に平和を築き上げた妖精の星で放送されることになる愛憎ドラマ尚と香。ゴブ主婦達に留まらず、色々な年代の間で話題となる。瞬間最高視聴率は驚異の80%超え。ゴブ香主演ドラマが一大ブームを巻き起こすことをゴブロリが知るよしもない。