闇と光 第150話 合肥の闘い

ゴブ紹率いる蜀軍は白馬の地にて倒れた。残る星下を争う勢力は魏呉妖そしてゴブ備。星下は誰の手に渡るのであろうか。

 


「まずいですね・・・着実に兵力が削られています。こちらの兵士の数は30億になってしまった・・・しかし向こうはまだ70億はいる・・・援軍が到着するまでどうにか持ち堪えなければ・・・」

 


「あるじがくるまでがんばるっ!!」

 


「必ず来てくれますわっ!!」

 


妖精さんもっと血をよこしてくださいっ!!」

 


「ゴカッカッカッ!!ゴブリー殿・・・このゴブ超も付き従いますぞっ!!」

 


「その通りでやんす。このゴブ蔵も微力ながら力を貸すでごわすっ!!」

 


ゴブ良達は魏軍の猛攻を受け、消耗していた。しかしそれでも抗い続ける・・・味方がくると信じて・・・。

 


一方ゴブ策とゴブ権は合肥の地にて対峙している。ゴブ権の猛攻を耐え凌いでいたゴブ史慈と合流。しかし既に10億の兵を失っていた。呉のゴブ粛(しゅく)、ゴブ蒙(もう)、ゴブ遜(そん)による策が原因である。ゴブ瑜がなんとか対抗するも、依然として厳しい状況は打開できない。

 


呉の智に対して妖は武で持ち堪えている。ゴブ策、ゴブ史慈、ゴブ信の3人が無双するが被害は敵軍の智により最小限に抑えられてしまっていた。

 


現在呉18億対妖12億。数の上では劣勢状態。そんな時にゴブガードより報せが届く。ゴブ備軍20億が後方より迫っている。ゴブ瑜はひたすら考えていた。しかし打開策がまったく出て来ない。現状ですら打ち崩すことが難しい。

 


呉軍との膠着状態を崩せぬまま、時間ばかりが過ぎていく。ゴブ備軍はもうすぐそこまで近づいていた。そんな妖軍の元へ1頭の馬が物凄い速度で駆け寄ってくる。その背中にはゴブロリが騎乗していた。黑愛が到着したのである。

 


「ゴブロリ殿っ!!申し訳ありません・・・未だに状況は打開できておりません」

 


「瑜ーちゃん。これは先生の分身体だな。だから意識はないと思う。本体は兄者と共にどんぱちやってるんだろうよ。よしよーし黑愛頑張ったなぁ」

 


「ブルルルゥ!」

 


「なんだ?お腹空いたのか?ずっと走ってきたんだもんなぁ。じゃあご飯にしようぜ」

 


「むぅ・・・瑜よ。そんな待ち焦がれた目でロリ先を見つめられると嫉妬しちまうぜ」

 


「策・・・しょうがないでしょう。私では打開策が見出せない・・・このお方にすがりたくもなりますよ」

 


ゴブロリの体が突然起き上がる。黑愛はそんなゴブロリにすりすりしている。

 


「黑愛よくやってくれたなぁ・・・って馬も腹見せんのか。よしわしゃわしゃしてあげようっ!」

 


蕩けた表情を浮かべる黑愛。妖精の星でもゴブロリのゴッドハンドは健在のようだ。

 


「おっ!先生。兄者の方は大丈夫なのか?」

 


「向こうはもうすぐ終わる。今ゴブ羽が最後の戦をしている頃だろう。蜀軍の兵士も半数以上は吸収できるはずだ。それはそうと・・・暴れ方が足りないんじゃないんか?ゴブ信よ」

 


「げっ・・・まじかよ・・・いやぁ・・・敵に瑜ーちゃんも苦戦するようなやつが3人いてな。なかなか突破できないんだ・・・」

 


「この短時間で絶望的な兵力差を覆し・・・勝利するだと・・・いったいどうやったら・・・」

 


「後で教えてやるよ。まずは状況を話せ」

 


「新たに就任した呉軍の3提督・・・粛、蒙、遜の3人により我が軍の攻撃が通用しません。彼らは私に勝るとも劣らない才覚の持ち主・・・彼らの策は・・・」

 


ゴブ瑜が得ている情報をすべて話し出した。

 


「なるほどな・・・しかしゴブ瑜よ。相手にする者を間違っている。今相手にしているのは誰なのだ?よく考えてみろ。

 


それにゴブ策もまだまだ暴れ足りないんじゃないか?ゴブ史慈もおとなしすぎる・・・その程度なのか?呉軍の武とやらは?」

 


「面目ねぇ・・・敵にオレらの闘い方がよく知られちまっている」

 


「私達が相手にしているのは・・・呉軍。粛でも蒙でも遜でもない・・・相手にすべきはゴブ権・・・それならば・・・」

 


1人思案し出すゴブ瑜の姿があった。そんな時ゴブガード達により情報がもたらされる。ゴブ備軍との交戦まであと3時間。

 


「ゴブ瑜っ!!使えるものはなんでも使えっ!!」

 


「御意っ!!ゴブ備軍に対しては信くんに対応をお願いしたいっ!!そうですねぇ・・・兵は5億ほど・・・」

 


「ゴブ信っ!!兵なんていらないよな?ゴブ羽は単騎で籠城して単騎で蜀軍を追撃したぞ?単騎でゴブ紹を追い詰めるはずだっ!ゴブ羽にできてお前にできないなんてことないよなぁ!?」

 


「ゴハハハッ!!兄者になんてことやらせてんだよ先生っ!!いいぜっ!兵なんていらねぇ・・・単騎で薙ぎ倒してやらぁっ!!」

 


「だそうだぞ?ゴブ瑜よ。お前は味方に気を遣いすぎだ。こういう脳筋どもはな・・・勝手に暴れさせるのが1番いい」

 


「ゴフフフッ!それはあなただから言えることでしょう。窮地に陥っても助け出す自信があるからだ。

 


それでは呉軍に対してはゴブロリ殿に単騎駆けをお願いしたいっ!!」

 


「わかってきたじゃねぇかゴブ瑜っ!!誘導地点はこの辺でいいか?提督殿?」

 


「話が早くて助かります。誘導方法は任せます。策っ!!ゴブ史慈っ!!我らは全軍で敵を横から叩くぞっ!!」

 


ゴブロリという心強い援軍を手にした妖軍12億と呉軍18億・ゴブ備軍20億が合肥の地にて激突する。

 


「ゴブ備殿・・・まもなく敵陣に到着。拙者に先駆けの役目をお任せ願いたい」

 


「おお・・・ゴブ忠(ちゅう)・・・名だたる将を我らは失ってしまった・・・我が軍の未来はお前の手にかかっている。頼めるか?」

 


「このゴブ忠・・・強靭な矢となりて敵陣を必ずや斬り裂いて見せましょうぞっ!!」

 


崖の上から妖軍を見下ろすゴブ忠の姿があった。その姿はスパーキング状態になっている。

 


「これより妖軍に奇襲を仕掛ける・・・我らひとりひとりが万の兵を屠る矢であるっ!!全軍突撃ぃぃぃぃぃっ!!」

 


崖を垂直に駆け下りるゴブ忠奇襲部隊。その先にはあの男の姿がある。

 


「兄者に負けてらんないよなぁ・・・ん?敵襲か・・・崖を駆け下りてくるとは面白い。そんじゃ暴れさせてもらうかっ!!

 


そこの者っ!!我が黑槍の生贄となれぃぃぃっ!!」

 


「相手にとって不足なしっ!!我こそはゴブ忠っ!!我が弭槍の餌食となれぇぃぃぃぃっ!!」

 


崖の斜面を駆け下りながらゴブ忠はゴブ信に矢を次々に放つ。ゴブ信は槍をゴブ忠に向かい掲げている。矢が迫る・・・しかし矢は勝手に逸れていく。逸れた矢は大地を深く抉り取っていた。燃え盛る壁が後方に立ち上っている。いつのまにか妖軍の姿はない・・・ただ1人を除いて・・・。

 


水のマナの使い手ゴブ信・・・ゴブ備軍相手の単騎駆けが再び始まろうとしていた。