闇と光 第37話 山の頂へ

お姉さん達の群れを抜け西門にオレはいた。通る度違うお姉さん達がいていい所だなここは。お姉さんひとりひとり匂いも違うし、形も感触も違う。ここは天使達の住まう楽園なのだな。

 


よしハイロリ闘気全開!!両手に短剣を持つ。手で持つというよりは自分のマナで持つ感覚の方がスムーズに動く。道場で学んだことだ。では再び動物園に行きましょう。

 


相手に時間を与えるな。短剣で攻撃を後方に流しながら突き進む。時には腕で受けそのまま薙ぎ払う。たまに壁のように獣達が待ち構えているがマナで足場を作り、獣達の頭上をスタイリッシュに突き進む。後方には獣の群れが追従する。オレに敵意はない。お前達話せばわかる。きっとわかりあえる。そんな言葉はあいつらには届かない。

 


そうこうするうちに山が見えた。山道は細い道になっている。鳥類の群れが待ち構えているので迂闊に空中を駆け抜けショートカットすることはできない。陸路を行くしかない。道は狭い。必然的に対峙する獣の数も減るはずだ。

 


その考えはすぐ改めることになった。速度は遅くなったが斜面を登りながら迫ってくるやつらがいた。追いつかれたらやられる。オレが通ってきた道からも獣達が追ってくる。タイムアタックでもしている気分だ。前方に熊発見。嘴ミサイル、ウサギミサイルも避けながら進む。

 


再びスタイリッシュに押し通る。今度はCoolという文字のエフェクトを添えて。なぜならその方がかっこいいから!山の中腹まできたがまだまだ先は遠い。道中に生えている木からリスらしきやつらがなにかを口から吐き出してくる。木の実ミサイルがここで追加された。難易度アップしたぜ。まだ舞える!アヤネちゃんゲットのためにオレは何度でも舞う!

 


しかし獣達はなぜお互いの攻撃が当たらないんだ。ぶつけてみようとしたが、するりとすり抜けて追ってくる。獣軍団の総大将はどこにいるのだ。優れた名将がいるに違いない。などと考えているうちに頂に到着した。薬草はどこにある。下を覗いて見ると斜面に草の群生地らしきものが飛び出ている。きっとあれに違いない。ここまできて雑草ということはないと考えたい。獣達が追いついてきたのでオレは意を決して飛び降りる。

 


飛び降りたら嘴ミサイルとの空中戦のはじまりだ。短剣で受け流したり、一点集中の防御で受け、時には足場を作り空中を駆け下りる。ふと上を見ると獣達がそのまま降ってきている。どうやってもオレを殺したいらしい。おかしい。オレがなにをしたというのだ。まもなく薬草の群生地らしきところに着く。着陸をスタイリッシュに決めるべく着地しようとしたその時・・・。

 


ボヨンッ!

 


なにか柔らかいものを踏んで跳ねてしまった。慌てて足場を作成しスタイリッシュにそこに舞い戻る。なにか声が聞こえてきた。

 


「なんじゃ!わりゃぁ!?こっちは腹減って気が立ってるんじゃ!」

 


これはあれだ。山の主だ。雰囲気的に化け物だ。赤子をひねるかのようにオレはやられるだろう。それほどの力量差を感じる。なにもいないかと思われた場所から巨大なカメレオンみたいなやつが現れる。落ちてくる獣達。詰んだと思ったが、ここでひとつ妙案を思いついた。

 


「あちら献上品になります。お腹が吸いていると風の噂で聞いたのでお届けに参りました」

 


このカメレオンが雑食でなければ終わるが果たして・・・。

 


カメレオンの口が大きく開く。落ちてくる獣達すべてを飲み込んでいく。最後のミサイルウサギちゃんを呑み込み終えるとカメレオンとオレだけが取り残されていた。

 


「おみゃあいいやつだな。うまかった。気に入ったぞ」

 


なんか気に入られてしまったらしい。なんでも卵を暖めていてここから動けず、腹が減っていたらしい。薬草を守っていたわけではないということだった。ちなみにここにくるやつらを食べたと言っていたのでこれがきっと例の物である。獣を殺したやつを襲ったのは自分の腹が減っているのに美味しそうな血の匂いをつけているのが気に入らなかっただけだった。食い意地のでかいカメレオンである。図体もでかいけど。

 


「この卵おみゃあにやる」

 


おかしい。なぜこうなる。久しぶりに食べたらまた食べたくなったらしい。食欲という欲求は偉大すぎた。卵が孵化さえすれば主的にはよいとのこと。マナを注いで暖めてくれといった。ちょうどいいところにオレがきたために、強引になすりつけられた形だ。貧乏神システムと似ているな。そう言うと主はカメレオンなのに飛び立っていった。

 


後に取り残されたオレ。さて周りには高価な薬草達。ふはは。億万長者だな。とりあえず根ごと優しくすべて回収して庭で育てよう。幸いインベに入ったので持ち運びには困らなかった。これでアヤネちゃんがオレのものに。ふふ・・・どうやって可愛がろうか。思いを馳せながらスタイリッシュにオレは崖を駆け上った。もちろんエフェクトを添えて。

 


Cool!!