闇と光 第64話 おっさんの弟子

さてとそろそろ帰るとしよう。待たせてしまっているだろうからな。その前にすることがある。

 


「デキウス。いるんだろ?」

 


「最高にいいものを見せてもらったよ」

 


「やっぱり見てたのか。アーロン。七瀬唯のアバターを取り払ってくれ」

 


「彼女ね。わかったよ。これで大丈夫なはずだ」

 


「なにかお代はいるのか?」

 


「いずれ返してもらうからいいよ」

 


「オレは必ず返す。ってか?」

 


「ふふ。勘のいい子は好きだよ」

 


「デキウスはオレの敵ではない。味方。そんな気はする」

 


「さあ〜〜?それはどうかな。帰らなくていいのかい?」

 


「そうだな帰るわ。またな」

 


オレは闇を纏い部屋に転移した。みんなお帰りと言ってくれた。いつもの格好で。唯もなかなか似合うじゃないか。体が動きやすくなったと言っていた。カーチャ、チャーリー、レナが嬉しそうでよかったとみんな笑顔で言ってくれる。来年は8人で会おう。そう言ってくれた。4人が彼女達を受け入れてくれているのが嬉しい。自分にはもったいないほどいい女達だ。

 


ただもうこれ以上勝手に増やさないようにと釘を刺された。違うんだ。増やすつもりはない。体と口が考えるより先に動いちゃうんだ。まぁこれといった女の子は見つからなかったから増える予定はない。

 


夕食をしながらオレは明日、朝から修行に行くと伝えた。みんな一斉に心配する。倒れることはしないと誓わされた。修行=倒れるものというイメージが染み付いているのはなぜなのだろうか・・・。好きな子に心配されるのは嬉しい。どうでもいい人だと鬱陶しくなる。困った性格だとは自覚している。

 


ふとヨシツネが気になった。アヤネの道場でヨシツネが師範代になるまで成長していた。なんでもあれからあのお世話になっていたお姉さんと恋人になった。そしていつも以上に努力していると言っていた。ヨシツネ・・・近い将来オレに義理の妹ができるんだな・・・わかるぞ。女の子のためなら頑張れるんだよな。うんうん。

 


今日は要望通りみんなくノ一になってくれた。いつのまにかアリスが人数分追加ですべての衣装を用意していた。アリスができる女過ぎる。それなのに自分にはデレデレしてくれる。オレの心は鷲掴みされている。今日は隠し続けていたあるものを投入しようと思う。

 


スクリーンが壁から出てくる。みんななにが起こるんだろうと不思議な顔している。映像が流れた瞬間みんなの顔が赤くなる。流したものは過去のネオ映像だ。みんな恥ずかしがっているがちゃんと見ている。今日も盛り上がりそうだ。

 


唯の成長度合が早い。4人のコンビネーションがすさまじい。昨日4人ということで手が足りなかった。ということでマナを手の形にする技を編み出した。ちなみにハイロリハンドと名付けた。修行の成果が充分に発揮されている。みんなを同時に可愛がれるようになったぜ。今はみんな後ろ向きでとてもいい眺めだ。

 


おはよう。目覚めた時に女の子の匂いに包まれているのが本当に幸せだ。自分の弱さと向き合わされたことで彼女達に心を簡単に晒け出せる。泣き虫。可愛いと言われるようになったが彼女達なら構わない。事実優しくされて泣いちゃうし。

 


地獄の拷問というのはあんなものなのかもしれない。魂ありだったから心に対しての痛みだったのかな?肉体だけならただの痛みだけで済んだのになぁ・・・。彼女達に支えてもらって弱さを補ってもらうことにしたんだ。もちろん支え返す。そんな関係を築ける相手がこんなにいるオレは世界で1番幸せなのかもしれない。

 


いってきますの恒例の行事を済ませおっさんの元へ向かう。先に着いたようだ。今日もいい天気だ。たまに雨も降るがここには傘というものは存在していなかった。住人達はマナで体を覆うことで傘の代わりにしている。住人達が攻めてきたら地球など簡単に落ちそうである。きっと地球にやってくる招かざる客も住人と同レベル以上の存在なのだろう。

 


オレ自身も世界と敵対するにあたって配下が欲しいがオレぼっちだしな。チャーリーとレナの仲間を当てにするのもなんか違う気がする。あいつらもチャーリーやレナの下で働きたいんだろうし。どうしようかね。こんな弱い男についてきてくれるものはいるのだろうか。もともと1人で敵対するつもりではいたのだが、獲った後なんだよな。統治を任せられるものがいないと話にならない。彼女達とは全員一緒にいたいから彼女達に任せる選択肢はない。考え事にふけっているとオレに声をかける者がいた。

 


「小僧早いのぉ。ところで小僧は何が目的でここにおる」

 


「おっさんおはよう。目的か。強くなること?なのかな。でも違うか。1番はここに来る前にオレの理想のような女の子を見かけたんだ。きっとその子ならこっちにきてると思ったんだけど違う世界に行ってちゃったんだよな。だからその子を手に入れるため。それが根源にある目的なのかな。たとえ知っていたとしてもオレ弱っちいからここにくる選択肢以外はなかったんだけどな。まっ現状の目的は強くなることだな」

 


「・・・であるか・・・まぁよかろう。儂もここにある女がくると思っていたんだがな。こなかったのじゃ。その者に稽古をつけてやる予定だったから暇つぶしにお主に稽古をつけてやってもよいぞ。ただ儂の稽古は厳しいぞ。ついてこれるかはお主次第じゃ。覚悟があるなら稽古してやろう」

 


「すべてを蹂躙できる力が欲しい。そのためならなんにでもすがる。強くなれるチャンスが降ってきてからその覚悟は既にできている」

 


「がははは。ならばついてこい。下に降りるぞ」

 


オレ達は地面に降りた。今街をゆっくりと歩いている。

 


「なぁ?なんで歩いて行くんだ?上を進んだ方が早いだろ?」

 


「ばかものっ!そう焦るでない。歩きながらの方が女の匂いをより堪能できるであろう。そのついでに向かっているだけじゃ」

 


「たしかに・・・距離が近いほど匂いも濃密になる。女の子の匂いを堪能するのは最優先事項だ。・・・さすがおっさん。オレの師匠はすげぇな」

 


「ほぅ?バカ弟子だがちゃんとわかってるじゃないか。ほれお主好みの匂いがあっちにあるぞ」

 


「おおー!!こっちにはおっさん好みの匂いがあるぞ」

 


「小僧もやりおるな!ところで小僧はどこの匂いが好みなんじゃ?」

 


「そうだなぁ・・・オレは耳の裏とか首筋・・・あとは下の方の匂いが特に好きだなぁ。ちょっと体温と湿度が上がっている状態のがベストだな」

 


「儂は上の方の匂いが好きじゃな。山と山の間の匂いが堪らん。どうじゃ小僧?すべての女を上と下で2人で山分けしようではないか?」

 


「それ体真っ二つなってるからな?両方なくちゃダメでしょ。上があるからこそ下が際立つ。下があるからこそ上が際立つ。表裏一体の匂いだからこそいいんだろう」

 


「・・・なんじゃ引っ掛からなかったの。やはり若いのによぉわかっとる!お主なかなか見所があるのぉ!」

 


匂いを堪能しながらゆっくり進んでいく2人。やはり出会ってはいけなかった気がする。師弟改め変態達よ。早く稽古にいけ。