闇と光 第68話 2人きりの時間

昼食を済ませたオレ達はそれぞれの日常に戻った。アリスはリヒテル様と修行へ。アヤネと唯は道場へ。唯には才能があるそうだ。そして剣などは問題ないのだが・・・棍棒系の武器を持つと性格が変わるそうだ。まぁそういうところもチャームポイントだね。気の強い女の子が自分の前では甘える姿をたまに見せるのとかいいよね。その逆バージョン。唯の場合はデレデレだから尚良い。

 


さて午前中の反省をしよう。ハイロリソードを忘れたのは痛かったな。完全に頭がお花畑になってたわ。しかしそれを敗因にしてはいけないな。アリスとオレの愛のせいにするわけにはいかない。ということでおっさんとの最初の稽古はハイロリシールドのみでいこうと思う。最初からハイロリソードを使わないことにしておけば愛のせいにしなくて済む。我ながら名案だ。

 


剣を離すのがまず失策だったな。耐えろだから倒す必要がないわけだ。倒すといってもあの化け物を倒せる気はしないが。ただ攻撃も織り交ぜないとジリ貧になる気がする。今日は1発もできてないのは内緒だ。受けと避け主体は間違いない。結局4秒くらいで殺されたしなぁ。先は長い。

 


マナ操作速度も上げたいな。おっさんの急加速は加速じゃない。消える。精度の差なんだろうな。マナ量的に余裕って言ってたからもっとうまく使えっていうことなのだろう。脳筋のいうことだから鵜呑みにするのは危険だが・・・儂がお主ならできるとかだったら笑えない。化け物と同じテクニックを要求されてもなぁ・・・。

 


脳筋思考になるつもりはないが、考えている時点でダメなのか。考えなくても対応できるようにならないとね。オレに戦闘経験がないのがなぁ・・・無い物ねだりしてもしょうがない。動きながら命唱かけるのも試してみよう。ただおっさんが命唱してきたら洒落にならない・・・。

 


明日は時間的に余裕があるから囚人達とのデスマッチをしてみてもいいかもしれない。少なくとも戦闘のテクニックはオレと同等以上だとありがたい。それなりに戦闘技術は上がったと思っていたが井の中の蛙だった。本物は違う。時間がかかるのは慣れてる。いくらでもやってやろうじゃないか。

 


「あれ?慶太じゃない。何も予定がないの?」

 


「おかえり美貴。戻るの早かったね」

 


「急いで片付けてきたわ。私だけ遅れるの嫌だし」

 


「そんな無理しなくても大丈夫だよ。オレが頑張ってみんなを守れるようになるから」

 


「守ってもらうばかりじゃなくて私も慶太を守りたい。みんなを守りたい。私にはみんな大事なの」

 


「みんな同じことを思っていると思うよ。美貴と2人きりって初日を思い出すな」

 


「機械に話しかけて私に報告されてた人がいたわね」

 


「突然ノリのいい機械音声さんになったんだよな」

 


「おもろしそうだったし慶太がタイプだったのよ。超イケメンってわけじゃない。でも優しそうな顔をしてる」

 


「オレも美貴がタイプだよ。結構すっぴんも好き。あの日の続きする?」

 


「すっぴんなんて可愛くないじゃない。でもありがと・・・私もしたい」

 


オレ達はすりくんタイムに突入しすぐにネオに発展した。気づけばオレ達を夕日が照らしていた。

 


「ねぇ慶太。ホントに私でよかったの?傷つけなければよかったって今でも思うの。もっと綺麗な体で慶太のものになりたかった」

 


「美貴の魅力だよ。美貴が辛かった証。生きてるのって辛いことだと思うんだ。辛い時ほど生が輝くってオレは信じてる。確かにオレは綺麗な体の美貴を好きになったと思う。それ以上に今の美貴の方が好きだ。ってゆうかどっちでも好きになってた。その傷を見る度オレはドキドキさせられてるよ。あの時は全然自分に気がないと思ってたよ」

 


「ありがとう。気がない人にあそこまでするわけないでしょ。一緒にベッドに入った時から気になってたわよ。ただ恥ずかしくてどうしたらいいかわからなかったの。気づいたら慶太のこと好きだった。今思えばあの時手出してくれても受け入れてたわよ」

 


「自分に魅力なんてないって思ってるからな」

 


「もう7人もあなたが好きなのよ。もっと自信を持って。優しくて私達のことを自分よりもなによりも大切にしてくれる。私達にも簡単にわかるくらい愛してくれる。見ててホントに好きなんだなってわかるもん。いつもニコニコしてるよ慶太は。こんなにまっすぐに想われて私幸せだなって毎日感じてるよ。でも・・・増やすのはなしだからね」

 


「増やすつもりはないんだって。知らないうちに増えていくんだ。そういえばこれなにかわかる?わかりにくいかもしれないけど」

 


「これって・・・慶太もしてたの?」

 


「前に美貴のような人がいた。その子には彼氏がいた。時間が経つに連れ2人きりで彼女の部屋で会うことが多くなっていった。ある日一緒にいる時彼女が涙を流した。もっと早く出会いたかったって。しばらく見つめ合っていた。気づいたら2人とも止まらなくなっていて関係を持った。その後は毎日のように会い毎日お互い求め合った。

 


ある日、彼女の情緒が不安定な時があった。その時彼女はなにかを持ってトイレに行ったんだ。すぐに後を追いかけた。そこで見たのは彼女が自分を傷つけているところ。オレは彼女から物を取り上げ同じとこを傷つけたんだ。そしたら・・・彼女にすんごい怒られた。見たことないくらい泣かれた。その後はお互いの傷口と傷口を重ねながら抱き合ってた。

 


その子の彼氏にバレちゃった時があってね。あっち系の彼氏だったんだけど、その時彼女からもう連絡してこないでって電話がかかってきたのね。後から聞いたら言わされてただけだった。考えればわかるんだろうけどオレバカだから。その時オレは幸せになってねって言って電話を切った。その後携帯を変えてしばらく連絡をとっていなかった。連絡先を消していたし連絡を取る手段がなかった。1年後くらいかな。使ってなかった別の携帯に連絡先が奇跡的に残っててね。そこで勇気を出して電話してみた。

 


キャバクラで待機中だった彼女がでた。そしてまた危ない方面の男と付き合ってた。数回会ったけど何回も同じことの繰り返しですれ違った。オレが大学を辞めて地元に戻ったことで関係は終わってしまったんだ。結局彼氏にもなれなかったしなにもしてあげれなかった。したいことを素直にやった方がいい。後悔するくらいなら思うがままにやれっていう思い出の傷だなこれは。ってなんで美貴が泣いてるの!?」

 


「昔からバカやってたのね。その子の気持ちなんとなくわかるな。慶太と一緒になりたかったんだね。私も慶太にそばにいて欲しかったな・・・」

 


「その時出会ってたら美貴には彼氏いないから・・・今頃子沢山だね。同じようにオレも美貴と同じ傷をつけてね。まっ今もしてるようだったらオレは美貴と同じ傷をつける気だったんだけどな」

 


「・・・ばか。私慶太からずっと離れない。だからずっとそばにいてね」

 


「ばかだけが取り柄だと思ってますぅ。オレは美貴を離さないよ。だからオレのことを離さないでね」

 


2人はその後アリスが帰ってくるまで愛し合っていた。アリスが混ざってきたのは言うまでもない。軽く運動してから美貴と一緒に夕食作りに行ったけど。

 


2人きりの時間。みんなと少しでもいいから作った方がいいかもしれない。彼女達も2人きりの時間は欲しいだろうし。オレもみんなと2人きりの時間は欲しい。いつか分身技ハイロリゲンガーを使えるようになりたいと思う。